
ぼくの妹は、しゃべることも難しいこともできないけれど、一緒にいると心がすきとおってくるんだ――。あたたかな家族の中で育まれた、妹を思いやる兄の心。家族の愛に包まれ、無邪気に笑う妹。この絵本には、互いを大切に思いやる兄妹の絆が描かれています。屈託なく生きる妹を“障がい児”ではなく争いも憎しみも知らない“イルカの子”だと言って大切に育てる家族の姿は“みんなちがって、みんないい”のだと静かに、でも強く訴えかけてきます。障がいってなんだろう? みんなと同じようにできることが、そして時には争って勝ち抜くことが、何よりも大切なことなのだろうか。障がい児を育てる両親はもちろん、子育てに悩む人、自分の生き方に自信が持てなくなった人にも、そして障がい児たちを受け入れる施設の職員の方々にも、ぜひ読んで欲しい1冊です。人間はみんな、生きているだけですばらしい。この本を読めば、きっとそう感じられ、力がわいてきます。

イルカの身体に触れたり一緒に泳ぐことで、自閉症やうつ病等が改善されるというイルカ療法のことを思い出しました。
イルカは傷ついた仲間がいれば側に寄り添って気遣ったりするようです。
きっと、イルカは人間が得ることのできない不思議な力を持つ、優しくてとてもピュアな生き物なのでしょう。
絵本の中の男の子は、そんな「イルカの子」として生れてきた妹から、人間がイルカに癒されるのと同じように、自分自身の優しい気持ちを育んでいます。
この絵本を読む大人や子供も、「イルカの子」に“触れた”時、優しく温かい気持ちが湧き上がってくるのを感じることができると思います。
心からおススメの一冊です。 (いくら丼ちゃんさん 20代・その他の方 )
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