![みどころ](/images/shoukai_midokoro.gif)
夕焼けに染まる空、その下に広がる青い海。それらが窓から見ている女の子の瞳に映りこみ、頬を紅潮させる。やがて夜が後ろから回り込むようにやってきて、無限の星を輝かせながら、見慣れた家具やおもちゃ、ネコや好きな景色と一緒に、女の子を心地よい眠りの世界へと連れていく。
「うつくしいって なに?」
絵本は問いかける。時間により刻々と移り変わっていく窓の外の景色。夕暮れ時にぴかぴかと現れる白い星。心が吸いこまれるような感覚。目をとじれば浮かんでくる大好きな明かり。そして、おやすみって言ってくれるすべてのもの……。
詩人最果タヒさんと絵本作家荒井良二さんが紡ぐ、夢のような物語。「ピンクいろのほほ」「かならずねむたくなる ほしぞら」「よるのしっぽ」……一つ一つの響きを耳にするだけでどこまでも情景が広がっていくような言葉。それに呼応しながら読者を無限の世界へと連れていってくれる緩やかで壮大な絵。二つの表現が溶け合って、まるで発光しているかのようなこの絵本。
「うつくしいって なに?」
もう一度問いかけながら、改めてページをめくってみる。それらを味わっている子の表情、あるいは自分の心に耳を当ててみれば、そこに答えが見つかるのかもしれない。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
![出版社からの紹介](/images/shoukai_shuppansha.gif)
きみの だいじなものは なに?
女の子が部屋から窓の外を眺めています。窓から見えるいろいろな景色。夕暮れ、海、船、夜空、星、都会の明かり。部屋の中の家具やおもちゃ。ネコ。やがて女の子は自分の世界に包まれて、眠ります。 詩人最果タヒと絵本作家荒井良二が紡ぐ、夢のような物語。
【編集担当からのおすすめ情報】 子どもにとって部屋や窓から見える景色は、世界そのものかも知れません。大好きなものに囲まれて眠るのは幸せなことですよね。 最果タヒと荒井良二。2つの巨星が初めてタッグを組むことになったのは、お互いが相手のファンだったことがそもそもの始まり。2つのまぶしい才能がぶつかり合い、どのような絵本が誕生したのか、ぜひその目でご覧ください。
![ベストレビュー](/images/shoukai_bestreview.gif)
この『うつくしいってなに?』の文を書いている
最果(さいはて)タヒさんは現代詩人のひとりです。
2008年に21歳で第13回中原中也賞を受賞、その後
『夜空はいつでも最高密度の青色だ』という詩集が石井裕也監督で映画化されるなど
活躍が注目されている。
絵を描いているのは、荒井良二さん。
絵本作家として多くの作品を出している荒井さんの絵の魅力は
大胆な筆づかいと眩しいくらいの多彩の色。
どの作品でもそうだが、ぐっと引き込まれる。
そんな二人が作った絵本だから、磁力が強い。
夕焼けの空をみつめている、一人のおさげの女の子。
やがて、夜の気配が押し寄せてくる。
空に星がひとつ、ふたつ。それをみつめる女の子の瞳にも星が。
やがて、夜空一面の星。
絵本見開き2ページいっぱいの星、星、星。
書かれた文は「むげん」。
ここから先の数ページは詩人と絵本作家がまるで格闘しているかのような緊迫の連続。
こういう緊張感は絵本作品では少ないのでは。
タイトルの「うつくしいってなに?」はおわり近くに書かれています。
その答えも書かれていますが、ここではナイショ。
最後のページを開く前に、考えてみてみましょう。 (夏の雨さん 60代・パパ )
|