![みどころ](/images/shoukai_midokoro.gif)
ネルソン・マンデラは、「アパルトヘイト」に反対して、国の刑務所に入れられ、27年半という歳月をすごして、解放されたのちに南アフリカ共和国大統領となった、伝説的な人物です。ようやく解放されたときは、70歳をこえた白髪のおじいさんでした(表紙の顔です)。 これは、彼がホリシャシャという名前で片田舎をかけまわっていた少年時代から、大統領になるまでを描いたお話です。
みなさんは「アパルトヘイト」って何だか知っていますか? アパルトヘイトとは、南アフリカで行われていた人種隔離政策です。全国民を白人、カラードとアジア人、黒人にわけ、もともと住んでいた黒人(人口の7割を占める)を差別しました。黒人は入れない場所(白人専用の浜辺、公園、劇場、居住区など)ができ、自由に意見を言う権利がなくなりました。政治的な意見を言っただけでもつかまってしまうのです。ネルソン・マンデラもそうやって投獄され、刑務所に入れられました。 しかしマンデラ氏は、人間的な魅力で、人種を超え、多くの人に尊敬されるようになりました。だからこそ、白髪になっても生きてかえってくることができたのでしょう。 マンデラ氏についてはいくつもの映画がつくられ(絵本の巻末でタイトルが紹介されています)、2013年に95歳で亡くなったのちも、今なお人々に慕われています。
作者はアメリカ・カリフォルニア州在住、カディール・ネルソン。ゆたかな人物表現と、大胆な構図で描かれた絵は、迫力たっぷりです。 翻訳者はさくまゆみこさん。文章は総ルビでまとめられ、ひらがなが読めるお子さんなら誰でも手にとることができますから、作者と訳者の思いがこめられたこの本を、ぜひ一度ひらいてみてくださいね。 困難な時代に、ひとりの人間が、あきらめず堂々と意見を言い続け、最後には世界の人々の応援を得て勝利した・・・。 その尊さは本を読んだあとも心のどこかに残り、いつか、子どもたちを支えてくれるかもしれません。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
![出版社からの紹介](/images/shoukai_shuppansha.gif)
20世紀の南アフリカ…人口の7割以上を占める黒人はアパルトヘイト政策によりさまざまな権利を奪われ、政治的・経済的に大きく差別されていました。マンデラは若くして反アパルトヘイト運動に身を投じ、反逆罪で逮捕され27年以上もの間牢獄に閉じ込められていましたが、決して闘いをやめることはしませんでした。今なお多くの尊敬を集めているマンデラがどこで生まれ、どのような活動をしていたのか…。『ヘンリー・ブラウンの誕生日』でコールデコット賞オナー賞を受賞した画家が、2013年12月5日になくなったマンデラ元大統領の人生とメッセージを重厚なイラストで物語ります。
![ベストレビュー](/images/shoukai_bestreview.gif)
マンデラ大統領が南アフリカの大統領になるまでの道のりが描かれています。
まず驚くのは、言語統制があったということ。
人種差別が多い他の国でも、親から貰った名前をそのまま呼ぶことが出来ないというのは、なかなかないことではないでしょうか。
そしてアパルトヘイトの政策。
ほんの一握りの白人が、大多数の他人種を押さえつける政策をしていることが恐ろしいし、それになぜか逆らうことが出来なかったことは、少し不思議です。
けれど虐げられた人々は、そこから抜け出すことが心理的に難しい面もあったのかもしれないと、読みながら感じました。
それだけに、20年以上もの長きに渡り、囚われていたマンデラさんが、それでも尊敬の念を抱かれ、多くの人々の希望の星であったことが、強く強く浮かび上がります。
絵本という短い内容の中にも、淡々と進む文章の中にも、尊敬されるに値する素晴らしさが感じられるということは、当時の人々に、マンデラさんが本当に愛されていたのだろうと分かります。
マンデラさんが退いた後も、理念は受け継がれていくことでしょう。
その功績をもっともっと知りたいと思いました。 (hime59153さん 40代・ママ 男の子8歳)
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