![出版社からの紹介](/images/shoukai_shuppansha.gif)
「ここへ畑を起こしてもいいかあ。」「いいぞお。」森が一斉にこたえました。人が自然の声にちゃんと耳をすまし、礼儀をつくしていた時代。人と自然との仲は、豊かで温かくユーモアに満ちたものだった・・・。現代こそ見つめ直すべき、賢治が提示した人と自然との関係を片山健が力強い油絵で温かく描ききった渾身作。
▼「宮沢賢治の絵本」シリーズ
【著者プロフィール】 片山 健 1940年東京生まれ。武蔵野美術学校商業デザイン科卒。「ゆうちゃんのみきさーしゃ」(村上祐子/作 福音館書店)で絵本制作を開始。以来、多くの絵本を描き続けている。「きつねにょうぼう」(長谷川摂子/再話 福音館書店)で日本絵本大賞受賞。「タンゲくん」(福音館書店)で講談社出版文化賞絵本賞を、「でんでんだいこいのち」(今江祥智/文 童心社)で小学館児童出版文化賞を受賞。主な絵本に「おなかのすくさんぽ」「おやすみなさいコッコさん」「おーくんおんぶ」(以上福音館書店)「3びきのくま」(千野栄一/訳 三起商行)など多数。
![宮沢賢治の絵本 狼森と笊森、盗森](/images/4895881180_20151128122158_op1.jpg)
![ベストレビュー](/images/shoukai_bestreview.gif)
宮沢賢治作品って、
硬質な絵が合う作品と、うんと泥臭い描き方が似合う作品と
けっこう分かれると思うんですが
この片山健さんの作品は思いっきり後者。
ガツガツ、ザクザク塗ってます。
片山さんって、水彩画ですい〜っと色をのばす印象が強かったんですが
この挿絵の画材は何を使ってるんでしょう?
油っぽい感じですね。油絵の具?クレヨン?わからないのですが、勢いよくビタビタといってます。
ここまでダイナミックな絵は珍しいのでは?
そして
「主役は土地(森)で、ヒトじゃない」
というメッセージが
絵からひしひしと伝わってきます。
最初の4人なんて
「ん?なに?人?」ってくらいちみっとしてて
失礼な書き方だったらごめんなさいですが
虫っぽいんですよぉ!
とにかくロングで引いたショットの構図を使い
たまに森を擬人化っぽくして顔つけてみたりして
季節の移り変わり、土地が開墾されて畑が増えていく様子を
淡々と、でもたっぷりと描きだしています。
狼森の火のシーンと、それが消えた瞬間の絵の対比とか
盗森らしき足のシーンとか
秋の事件の盛り上がりの場面の絵もダイナミックでいいですよ〜
特に足w
必見です^^
森が中心なので
色合い的に暗い・黒い場面が多いですが
おどろおどろしくはありません。
背の高い木がたくさんですもん、日が差さなくて暗いんですよ。
ま、でも、ちょっとは怖いかな、原っぱとは違いますから。
そして、この暗さ・怖さが森の魅力なわけですし。
自然の荒々しさと優しさ
それにこたえる人間
素朴な対比があったかくつたわる絵本でした。
片山健さんっぽい絵を期待すると
んん?違うかも?ですが
らしさでいうと「著者らしさ」より「作品らしさ」を追及している、って感じで
著者の意外性を見せていただいたように思います。
いろんな出版社の『狼森と笊森、盗森』を全部並べても
文章と絵のマッチングはかなり上位に入るはず。
宮沢賢治の森の世界へご一緒にどうぞです♪ (しろいまちこさん 40代・その他の方 )
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