宮沢賢治作品って、
硬質な絵が合う作品と、うんと泥臭い描き方が似合う作品と
けっこう分かれると思うんですが
この片山健さんの作品は思いっきり後者。
ガツガツ、ザクザク塗ってます。
片山さんって、水彩画ですい〜っと色をのばす印象が強かったんですが
この挿絵の画材は何を使ってるんでしょう?
油っぽい感じですね。油絵の具?クレヨン?わからないのですが、勢いよくビタビタといってます。
ここまでダイナミックな絵は珍しいのでは?
そして
「主役は土地(森)で、ヒトじゃない」
というメッセージが
絵からひしひしと伝わってきます。
最初の4人なんて
「ん?なに?人?」ってくらいちみっとしてて
失礼な書き方だったらごめんなさいですが
虫っぽいんですよぉ!
とにかくロングで引いたショットの構図を使い
たまに森を擬人化っぽくして顔つけてみたりして
季節の移り変わり、土地が開墾されて畑が増えていく様子を
淡々と、でもたっぷりと描きだしています。
狼森の火のシーンと、それが消えた瞬間の絵の対比とか
盗森らしき足のシーンとか
秋の事件の盛り上がりの場面の絵もダイナミックでいいですよ〜
特に足w
必見です^^
森が中心なので
色合い的に暗い・黒い場面が多いですが
おどろおどろしくはありません。
背の高い木がたくさんですもん、日が差さなくて暗いんですよ。
ま、でも、ちょっとは怖いかな、原っぱとは違いますから。
そして、この暗さ・怖さが森の魅力なわけですし。
自然の荒々しさと優しさ
それにこたえる人間
素朴な対比があったかくつたわる絵本でした。
片山健さんっぽい絵を期待すると
んん?違うかも?ですが
らしさでいうと「著者らしさ」より「作品らしさ」を追及している、って感じで
著者の意外性を見せていただいたように思います。
いろんな出版社の『狼森と笊森、盗森』を全部並べても
文章と絵のマッチングはかなり上位に入るはず。
宮沢賢治の森の世界へご一緒にどうぞです♪