色鮮やかな表紙が並び、何ともにぎやかな絵本売り場のコーナー。そこにぽつん、と真っ白で静かな一冊。何だか逆に目を引くのです。それがこの絵本「スケッチブック」。 作者の植田真さんは江國香織さんやいしいしんじさんの本の装画などを手がけている人気のイラストレーター。初めて手懸けたオリジナル絵本も挿絵の時のイメージと変わる事はありません。 そのあまりの静かな美しい風景に大人の為の絵本か、と頭の固い私は勝手に括ってしまいそうになりましたがそうではありません。絵本に登場する、3人の子ども達が拾うスケッチブックを通じて自由に発想をし、耳を傾けて、考えるのです。こうしたストーリーに柔軟に入り込めるのはむしろ子どもなのではないでしょうか。そんな前提で絵も見ていくと、自由にどこまでも広がっていく隙間のたくさんある静かな風景、そこに浮かぶ美しい色合いの影や人や物、控えめなこの世界に肩肘張らずにすっと入り込める気がします。作者御本人も子ども達がこの絵本を読みながらスケッチブックとして書き込んでいって欲しい、とおっしゃっているそうです。「余白」がある・・・感じたり、想像したり、考えたりできる時間がある、という事なんですね。 そうこう言っているうちに、自分の子どもにもこんな素敵な風景をまだ頭の柔らかいうちにたくさん吸い込んで欲しいなぁ・・・と思ってきました。こういうタイプの絵本がもっとたくさん見てみたいな。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
まるで画家の心象風景のような、静かであたたかな絵と、子供たちと愉快なおしゃべりが織りなす、詩的で、愛らしい絵本。
まるで短い小説のような、そんな絵本です。
どこが良いのかと説明するには、すこし難しい。
でも、眺めているだけで、文章を読んでいるだけで
こころが落ち着いたのは確かです。
絵本の中で、ゆっくりと時間が流れているのを感じました。
砂糖菓子のようなイラストが、
忙しい毎日に休息を与えてくれたようです。 (なーお00さん 20代・その他の方 )
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