お手製の青い複葉機にのり、バードウォッチングを楽しんでいた「そらいろ男爵」ですが、戦争が起こり、お気に入りの飛行機を迷彩色にぬりかえて、戦いに参加せざるをえなくなります。最初は、爆弾のかわりに打撃力のある12巻の百科事典を使い、一個大隊を撃破。でも、戦争はつづきます。旅行記や料理書、哲学書、天文書に歴史小説、男爵は大好きな『本』をどんどん投下します。本を拾った将軍や兵士たちは、それぞれ本に夢中になり、戦いへの意欲がなくなってしまいます。そして、男爵が戦争を終わらせるために最後に投下したものは……。2014年に第1次大戦開始100年を記念して刊行され、フランスで児童書に贈られるサンテグジュペリ賞を受賞した良質の絵本。日本でも終戦後70年になる2015年に、平和をもたらす『本の力』『ことばの力』をわかりやすく伝える貴重な一冊。小学生から大人まで、幅広い年齢のかたに楽しんでいただける内容です。
ドレードマークの空色の飛行機でのんびり空中遊泳を楽しむのが好きなそらいろ男爵がおりました。
ですが世界で戦争がはじまり彼も飛行機のりとして戦争に参加しなくてはならなくなりました。
戦争が続き爆弾も少なくなり戦況が厳しくなってきたときに男爵が思いついたのは家にある本棚の分厚い本。
本を爆弾代わりに空から敵に投下したのです。
敵の頭上にでも落ちれば攻撃の手段になると考えたのです。
男爵が落としたのは「戦争と平和」。その本は敵に命中はしなかったものの、本を拾った敵の大将が本を夜通し読んでしまい次の日は戦争が一時ストップしたのです。
本の投下に手ごたえを感じた男爵は本の投下を続けますが、そのうち家の本棚も少なくなり効果的に本を投下する方法をとるのです。
本の上巻を敵陣に、下巻を自陣に。本の続きが気になる兵士たちはお互い本を交換するようになったのです。とうとう本がなくなり次になにを投下しようかと考え、兵士たちの家族からの手紙を投下するのです。
それも味方の家族の手紙を敵陣に。敵の家族の手紙を自陣に。
こうして、とうとう戦争は終わりました。
そらいろ男爵はまた大好きな空の散歩をできるようになりました。
本が大好きな私にとって本を使い平和に導いたそらいろ男爵は英雄です!力に対して力で対峙するのではなく、人間それぞれが持つ平和や芸術、美しいもの、大切なものを愛する心に訴えかける方法に感動しました。絵本ではありますが大人も十分に楽しめる絵本だと思います。 (ときいるさん 30代・ママ 女の子6歳)
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