バンブルアーディは、生まれてから一度も誕生日のお祝いをしてもらったことがない、豚の男の子です。
1歳の誕生日は何もなし。 2、3、4歳は忘れられ、5、6、7歳も何もなし。 8歳のときにはパパとママが豚肉にされちゃって……。 すてきなアデリーンおばさんが、甥っ子バンブルをひきとった。 それで、とうとう9歳ではじめてお祝いをしてもらうことになりました! 「ね、わるくないはなしでしょ?」
ケーキも、プレゼントももらうバンブルアーディ。 「わるくないどころか、これってさいこう!」
嬉しいバンブルアーディは、誕生日パーティにともだちを大勢呼びます。 おばさんが仕事で家を出た直後に、変装したともだちが押し掛けてきて…… おばさんの特製ジュースをがぶがぶ飲むわ、がつがつケーキを食べるわ、やりたい放題、どんちゃん騒ぎ! おばさん帰ってきたら、さあどうなる!?
『かいじゅうたちのいるところ』『まよなかのだいどころ』など世界中にその作品を知られるモーリス・センダック。 そのモーリス・センダックが30年ぶりに、自ら作絵を手がけた生前最後の絵本です。 どんちゃん騒ぎのお祭り騒ぎの場面は、『かいじゅうたちのいるところ』のパレードの場面に通じるような最高の雰囲気!
一方、バンブルのために急いで仕事を終えて帰って来たアデリーンおばさんの、怒りっぷりも見どころです。 (親は、おばさんの気持ちがわかるかも?) 最後は、軽やかであたたかいラストシーンが胸を打ちます。
9年目ではじめてみんなに祝ってもらう誕生日パーティ。 不思議なお祭り騒ぎは、とても21分間の出来事には思えません。 子どもも大人も、迷い込みたくなるモーリス・センダックの世界。 センダック作品おなじみの絵に描きこまれたセリフも、その魔法に一役買っているのかもしれません。 絵のすみずみまで眺めて、存分に味わってください。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
生まれてから一度も誕生日を祝ってもらったことのないブタの男の子、バンブルアーディは、両親をなくして、おばさんのアデリーンにひきとられました。9歳の誕生日を初めて祝ってもらったバンブルは、おばさんにないしょで、近所の友だちを家にまねいて、どんちゃんさわぎのパーティを開きます──。 『かいじゅうたちのいるところ』『まよなかのだいどころ』と共に3部作とよばれる代表作『OUTSIDE OVER THERE』(新訳版を小社より刊行予定)以来、30年ぶりにセンダック自らが作絵を手がけた話題作です。その死の前年に発表され、センダックにとって生前最後の絵本となりました。 イラストは80代という年齢をまったく感じさせないエネルギッシュな魅力にあふれ、最後まで子どもの側から世界を描こうとしたセンダックが孤独な主人公に贈ったラストシーンがあたたかく胸をうちます。
よく見ると1ページ1ページ、いろいろこだわりを持って描かれていて、「絵」としての遊び心は満載です。
子ども向けの“絵本”としての作品というよりも、センダックのひとつの“芸術作品”の形だったのかなって、感じました。
ハロウィンのような奇抜な仮想だらけのページは見てるだけで楽しかったです。
だから、ストーリーといえるストーリーはなく、
その場その場の状況や絵を楽しむ絵本という気がしました。 (てんぐざるさん 40代・ママ 女の子21歳、女の子16歳)
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