一日中くねくね歩き回ってくたびれたムシのクレリアは、大きな木の長い枝を見つけ、体を伸ばして休みました。 うっとり目を閉じると、クモがやってきて、僕にも休ませてくれと言います。 クレリアは、「いいわよ。にょろ。」と言って少し縮みました。 続いてバッタが、それからテントウムシが、そしてチョウが・・・次々にムシたちがやってきて、自分も休ませてくれといいます。 そのたびにクレリアは少しずつ縮んで・・・とうとうクレリアの姿が消えてしまいます。 ムシたちは手分けしてクレリアを探しますが、見つかりません。 ムシたちはクレリアを探すためにポスターを作ります。
ちいさなムシのクレリアは、ねむたくなって目をとじました。そこへクモがきてバッタがきて、ムシたちにすこしずつ寝る場所をゆずってちぢんでいくと、おやおや? いるはずのクレリアはどこに?
【田中パパ】 あおむしのクレリアが、気持ち良さそうな枝を見つけて休んでいると、クモやバッタやてんとう虫が次々にやってきて、そのたびにクレリアは、「にょろ」って言いながら体を縮めて、みんなに場所を譲ってあげるんだけど、そのうちに体を縮めすぎたクレリアは、小さくなって消えてしまうんだよなぁ。 虫たちは、クレリアをあちこち探したり、みんなで「たずねムシ」のポスターを作ったりするわけだけど、クレリアは出てこない。このお話は、それでおしまい。シュールな顛末に、父子ともにボーゼン。 「あなたのまわりにクレリアがいたら、おしえてください。」という巻末の一行にある通り、絵本の中の架空の生き物を、読み手の子どもたちが、実際の生活や夢の中で探す、という手品みたいな導き方に大拍手。 「たずねムシ」のB4ポスターが付いていて、最後に大笑い。 版元には「クレリア目撃情報」がいまだに寄せられていると聞く。ボクもハガキを出そうかな。 読み終わった後に、「はい、おやすみ!」だけじゃあなくて、語り合うことが出来るって、とても楽しいことだと思うよ。これは、そんなキッカケをくれる扉みたいな絵本。
眠いのを我慢して、みんなのために寝場所を空けてくれるクレリア。そして、最後には・・・
え。この本これで終わり。というのが、一読した後の正直な気持ちです。
この究極の自己犠牲はなんでしょう。クレリアは今どうしているのかしら。寝場所を譲ってもらった虫達でなくとも、気になってしまいます。
クレリアのことももちろん気になりますが、残された虫達が気の毒でなりません。かれらは生涯、クレリアをさがし続けることになるでしょうから。クレリアちゃん、ちゃんとさよならしてってほしかったなあ。あなたのようなステキな虫に出会えて幸せだけど、突然いなくなちゃったら、悲しいんだよ。(究極の、お別れですけどね、ずっと心に残る。) (えっこさん 40代・ママ 男の子11歳、女の子8歳、女の子3歳)
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