ルナは新しい町に引っ越してきました。 新しい教室に通うことになったけれど、部屋も友だちも好きになれなくて、みんながお絵描きをしているところをそっと抜け出したルナ。 廊下をぶらぶら歩いていて、真っ白な卵を見つけます。
卵を手にとり、筆でぐるーり、ちょんちょんと模様を描くと……。 あれれ? むずむずしはじめた卵が「ぱりん!」と割れて、飛び出したのは、蝶ネクタイをつけたふしぎなうさぎ!
「ルナちゃん、こんにちは! ねえ、ぼくと たまごさがしに いかない?」
さあ、ルナとうさぎは一緒に卵さがしをはじめます。 いったいどこにかくれてる? いったい何が入ってる?
新しい場所になじめない女の子のルナが、卵をさがすうちに、きらきらしたかわいいものや美しいものに出会い、新しい友だちを見つけていく絵本。 何かがはじまるときの不安とわくわくが、イースターの卵さがし(エッグハント)になぞらえて、生き生きと描かれています。
作者のたなか鮎子さんは、イギリスやドイツに住んだことがあり、現在はフランスのパリに暮らしているそう。 2000年にイタリアのボローニャ国際絵本原画展入選以降、『かいぶつトロルのまほうのおしろ』(アリス館)、『フィオーラとふこうのまじょ』(講談社)など絵本を多数出版しています。 本書は幼少期のドイツ居住体験をもとに制作されたそうです。
巻末には、4ページにわたって、イースターエッグの歴史や、作り方、「たまごの木」の習慣などについての解説があります。 本場のカラフルなイースターエッグの写真に、きっと目を奪われますよ。
ヨーロッパでは有名な春のおまつり、イースター。 行事に興味がある子はもちろんですが、ただ春の新しい出発を前に、ちょっと複雑な気分になっている子たちにぜひ気軽に手にとってほしい本です。 やさしい愛らしさがいっぱいの絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
ひっこしてきたばかりであたらしい環境になじめないルナの前に現れた、ふしぎなたまご。絵筆で色をつけたら、パリン! なかから春の気配が飛びだした! あたらしい始まりをよろこぶ春とイースターの絵本。
それぞれにいろんな世界がつまったたまごを探して歩くなんて、とても夢のあるお話です。
読み終えてから、解説でイースタの話であることを知ったのですが、たなか鮎子さんがヨーロッパで暮らし始めたのが、ちょうどこの季節だったのでしょうか。
転校生のルナと作者を重ね合わせて、空想の世界が少し現実とつながりました。 (ヒラP21さん 70代以上・その他の方 )
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