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大きい1年生と小さな2年生

大きい1年生と小さな2年生

  • 児童書
作: 古田 足日
絵: 中山 正美
出版社: 偕成社 偕成社の特集ページがあります!

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税込価格: ¥1,320

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作品情報

絵本クラブ
発行日: 1970年03月
ISBN: 9784035110101

出版社のおすすめ年齢:低学年〜
23cm×19cm 166ページ

7〜8歳 編集部おすすめ

小学2年生向け 児童書セット

みどころ

お話に登場するのは、体は大きいけれど弱虫の1年生のまさやと、体は小さいけれどしっかり者でけんかも強い2年生のあきよです。読む子どもたちは、それぞれどちらに親近感を覚えるでしょうか?

まさやは1年生になったばかり。家から学校までの「がけのあいだのみち」がこわくて仕方がありません。狭くて暗いし、木はしげっているし、時々カラスも鳴いていてこわいのです。けれどもお母さんからひとりで学校へ行くのよ、と言われ困っていると、次の日、2年生の子どもたち四人が迎えにやってきて、まさやはあきよに手をつないでもらい、登校するようになります。まさやはあきよがいるだけで心強い気持ちになり、だんだんあきよの強さとしっかりとした様子に憧れるように‥‥‥。一方であきよもまた、まさやを見守ることによって、体は小さくても自分は大きいのだという自信が湧いてくるのでした。

そんなある日、事件が起こります。
あきよが好きな「ホタルブクロの花」を、「じんじゃの森」に探しに行くことになったあきよとまり子(あきよの友達)とまさや。傷を作りながらもあちこち探して、やっとの思いで二つだけ手にするのですが、帰り道に3年生の男の子たちとケンカになり、踏みつぶされてしまいます。その時、あきよが泣く姿を始めて目にしたまさやは、あきよのために「ホタルブクロの花」を取りに行こうと決意するのでした。そして1週間後の日曜日、「ホタルブクロの花」がたくさん咲いているという遠い場所にある「一本スギの森」に向かって歩き出します。ひとりで学校へも行けないまさやが大きな勇気を出して頑張る姿がみどころです。

こわいものがたくさんあるまさやも、体が小さいことに強いコンプレックスを持っているあきよも、それぞれの悩みは本人たちにとっては深刻なものでしょう。大人も読んでいるうちに自分が子どもの頃に感じていた悩みや感情を思い出し、子どもたちが目にしている毎日や世界がありありと感じられるような体験をするのではないでしょうか。中でも「しっかりする」というのは、いったいどういうことなのか? とまさやが考える場面では、小学生になったらしっかりしなさい、しっかりしなくちゃいけない、と言われるのは昔も今もずっと変わらないテーマなのだなあ、と思わせられました。

1970年の刊行以来、50年以上も読み継がれているこちらのお話は、『おしいれのぼうけん』『ロボット・カミイ』でおなじみの児童文学作家古田足日さんが残された名作です。小学1、2年生の子どもたちが抱える不安や悩みはどんなに時代が変わっても変わらない普遍的なものであること、しかし、きっかけさえあれば、短い間でぐんと成長するたくましさを秘めていること、まさやとあきよがお互いに関わりながら大きく成長していく様子に子どもは子ども同士の関わりの中で育つ、という真理を見たりなど、何度読んでも胸を打つものがたくさんあります。

子どもたちが1、2年生のうちにぜひ出会わせてあげたい作品です。
しかし長さは166ページとボリュームがありますので、1、2年生でひとりで読めるという子はなかなかいないでしょう。ハラハラする場面もたくさんありますので、大人がお話の案内人となって読んであげることをおすすめします。各章の表題も、「ぼく、おなか すいたあ」「子どもには、たいていのみちは、はじめてのみち」「しんせつなおじさんか? ゆうかいはんか?」など、とても魅力的。章ごとに毎日1章ずつ読んでいくというのもいいですね。子どもたちへの応援の気持ちをたくさん込めながら、ぜひご家庭や教室で、読んでみて下さいね。


(秋山朋恵  絵本ナビ編集部)

出版社からの紹介

泣虫の一年生まさやと、しっかり者の二年生あきよの友情と自立の物語。

ベストレビュー

自立・ひとり立ちを描いた作品

「おしいれのぼうけん」「ダンプえんちょうやっつけた」の古田足日さんの作品だということで、とても楽しみに読みました。

166ページ13章、かなり読み応えのある作品です。
毎晩寝る前に1日2章づつと決めて読むことにしましたが、「お願い、もう少し読んで!」と息子に懇願されることも多く、5日間で読みました。

体は大きいのにお母さんに頼ってばかりで、精神的にはとてもひよわな1年生の「まさや」。
体は小さいけれど自分の気持ちに真っ直ぐに行動することができる、しっかり者の「あきよ」。
対照的な2人ですが、友達になって時間を共有するうち、しだいにお互いのことを理解するようになっていきます。

「まさや」は勝ち気に見える「あきよ」にもコンプレックスなど複雑な心情があるんだと知ります。
そして、そんな「あきよ」のために大冒険に立ち向かうのです。
「あきよちゃんを喜ばせたい!」という一心で。

終盤、強い気持ちで不安をはねのけていく「まさや」の大きな成長を感じ、読んでいてウルウルでした。

子どもは子どもの中でたくましくなっていく。
子ども同士の遊びの時間はかけがえのない大切なもの。
そんなことも感じました。

子どもの心情の奥の奥まで細かく書かれていて、友情と自立をありありと描いたとても素晴らしい作品でした。
(カトリーヌみどりんさん 30代・ママ 男の子7歳、男の子2歳)

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