ひとりで暮らす五助じいさんに、ある年の夏、急に友だちができたのでした。それは小さなキツネの子。どこかから迷い込んできたのでしょうか、いつの間にか五助じいさんの小屋に居つくようになったのです。コンコンと名付け、かわいがり、どこへ行くのも一緒。そのうちに、二人は会話ができるようなります。コンコンは、だんだんと五助じいさんにそっくりになっていきます。
「どうも、まずいよこれは。だんだんキツネらしくなくなってくるよ……」
そんなある夜。家の前を通りかかったキツネの群に、コンコンは化け方を習うことになります。偉いお役人さんに上手に化けるキツネたちをよそに、コンコンはどうしても湯たんぽにしか化けられません。そして、そのまま彼らは町へと出かけていくのですが、そこで思わぬ出来事が起こるのです……。
優しい五助じいさんと素直で可愛らしいコンコン。二人のやり取りはのんびりほのぼの、それでいてどこか滑稽で。いつの間に物語にひきこまれていくのです。あり得そうであり得ない、想像がつきそうで驚かされる最後の展開。馬場のぼるさんの魅力がたっぷり詰まったこの絵本。面白いお話というのは、いつまでも色褪せることがないですよね。嬉しい復刊です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
人のいい五助じいさんに拾われたキツネのコンコンは、化け方の技術がいまひとつ。湯たんぽにしか化けられません。ある日人間に化けた仲間のキツネと町に出かけていきますが…。あったかくて少し懐かしい絵本。
11ぴきのねこシリ−ズで有名な馬場のぼるさんの絵本です。
一人暮らしの五助じいさんのところに、1ぴきのキツネが迷い込んで住み着いてしまいます。五助じいさんがコンコンと名付けかわいがるうちに、いつの間にか言葉も通じるくらいになつきます。じいさんは、キツネらしくなくなってきたコンコンを心配し、ある夜通りかかったキツネの群の大将に、コンコンに化け方を教えてくれるように頼みます。他のキツネたちは次々に人間の化け方をマスタ−しますが、コンコンだけは何度やっても湯タンポにしか化けられません。ある日町へ出かけることになり・・・
なんともほのぼのした語り口で、まるで日本昔話のようです。ラストのオチが、馬場のぼるさんらしくていいですよ。 (ぼのさん 30代・ママ 男の子9歳、女の子6歳、女の子2歳)
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