「よし、おいらにまかせなっ。」 こんな男前な岡っ引き親分が(江戸らしき)町を舞台に大活躍する時代劇調絵物語。 でもこの親分、男前だけど口が・・・そう、ここは虫の町、親分は蜘蛛なのです。
お菓子屋の老舗の「ありがたや」に盗人からの予告状。お祭りのための倉のお菓子を今夜盗みに来ると店の者(蟻)達が泣いている。 蜘蛛の巣親分、倉を蜘蛛の巣で囲っていざ見張り!ところが、敵は姿の見えないかくればね。悪戦苦闘の親分、さぁどうする?
小気味良い時代劇調の語り口と奇想天外なストーリー。そして何といっても出てくる虫達がとってもリアル。と言っても虫がちょっぴり苦手な私でも気持ち悪いわけではなく、愛嬌のあるキャラばかり。 それぞれの働きや能力を生かしているところが面白い!隅々まで眺めて思わず虫の世界に興味を持ってしまう・・・と子ども達の心をがっちりつかむ話を描く作者はただものではないはず。 それもそのはず、かつて「ガロ」で虫を題材とした漫画を発表していた(こちらも気になる!)という筋金いりの「虫好き」で御本人も蜘蛛を飼っているらしい。そして時代劇も・・・これは続編が楽しみです。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
虫の町のお菓子屋に盗みの予告状が届く。盗人を待ち受ける蜘蛛の巣親分の前に現れたのは、姿の見えない盗賊だった! 本格的時代劇絵本と新ヒーローの登場です。
春爛漫の虫の町、桜の花も真っ盛り。そんな平和なある日、お菓子の老舗「ありがた屋」に盗人(ぬすっと)「隠れ羽」から盗みの予告状が届いた。困ったアリたちは岡っ引き「蜘蛛の巣親分」こと鬼蜘蛛の網蔵に助けを求める。親分と蠅取り蜘蛛のぴょんきちは隠れ羽を待ち受けるが、現れた隠れ羽は、羽の模様を周囲に合わせて姿を消してしまう特殊な蛾だった! 桜吹雪の舞う中で、壮絶な捕り物劇が繰り広げられる。見えない敵を相手にぴょんきちが跳び、親分の網が宙を舞う。はたして、親分は隠れ羽を捕らえられるのか!? 月刊「こどものとも」として刊行されるや子どもたちの支持を得て評判を呼び、売り切れ御免となってしまった「くものすおやぶん」が、ハードカバー版になって再登場。愛らしい虫たちの町を舞台にした本格的時代劇絵本の醍醐味を、たっぷりとお楽しみください。
タイトル&イラストに一目ぼれし、即買いしました。
表紙の親分のするどい目つきとぴょんきちの愛らしい瞳。
なんといってもクモが時代劇の捕物帖風の話の主人公なんですよ。まず見たことないっ!というすごい設定のニューヒーローにワクワク。
ページをめくるとなんとも楽しく細やかなタッチで、虫たちの時代劇ワールドが展開されているじゃありませんかっ!
1ページずつよく見ると、虫たちの特長や雰囲気に合ったキャスティングで話が展開されていき、虫があまり好きじゃなかった私もすっかり夢中。
建物や背景、小物にいたるまでこまこま描かれているのがまた楽しいんです。
息子に内緒で買ってきて一緒に読むと、今まで見たことないユニークさに大喜び。
時代劇風の言葉や絵の新鮮さも加わってか、何度も読まされています。もちろん何度読んでも楽しいですよ。ついつい口調もべらんめえ調になり、テンションもヒートアップしますが。
「かくればね」を始め、いろんな虫を探したり、虫たちの表情やしぐさを比較しては親子で「コレ見て!」と指さしてはケラケラ笑っています。なんともかわいい虫図鑑みたいな絵本です。
とにかく一度本を手に取りめくってみてください。
その魅力にクギヅケになること間違いなしです。
久々に多くの方に読んでいただきたいと思う本に出会い、感想を書いてみました。 (ともだちやさん 30代・ママ 男の子5歳、女の子2歳)
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