「ひらた・おでんが にやりとわらえば おにのはなにも はながさく」 まちのうわさは「ひらた・おでん」で持ちきり。って、「ひらた・おでん」てなに〜!? 内田麟太郎さんと西村繁男さん(おふろやさんややこうれっしゃなど)が組んで時代劇絵本を創ったらこんな感じになりました。 主人公はさむらい浪人のひらた・おでん。そしてお供はかぶとむしのかぶへいでござい。ひらた・おでんが通りかかりに助ける相手がかさおばけのぼうや。 時代劇、虫、おばけと来た。こんなに今気になる要素を並べられては読まない訳にはいかなくなるでしょう。 内田さんの奇想天外面白ストーリーが西村さんの絵でほのぼのとした風流な時代劇調に仕上がっているのが新鮮で面白いです。 余談ですが、西村さんの前作の時代劇のおはなしのキャラクターが「ウオーキング侍」と言ってちょんまげにスーツ姿なんですよ(笑)。 今回は無精ひげが似合う恰幅のいいなかなかの男前な「ひらた・おでん」なのでした。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
人気絵本作家のふたり、個性的な文体リズムで読者の心をとらえてはなさない内田麟太郎さんと、優しい筆づかいと細部まで描き込まれた味わい深い画風で多くのファンを持つ西村繁男さんが、再びコンビを組んでの創作絵本です。 主人公おでんは勿論のこと、おでんの親友でもあるかぶへいや、傘おばけのぼうずなど、魅力的な登場人物たちが顔を出します。傘おばけのぼうずはおばけであることに誇りを持っていて、おばあちゃん想いの優しい子どもでもあるのですが、そんなぼうずに肩入れしてしまいたくなるおでん自身も、他ならぬおばあちゃんっ子なのでした。そんな人情と優しさが、寒い寒い雪の日をあたたかくしてくれます。楽しくて面白い、そしてちょっとほろりとさせるお話になっています。文章のリズムを味わいながら、ぜひ声に出してお子様に読んでいただきたい一冊です。
小学3年生の朝読で紹介しました。
内田麟太郎さんの人情味あふれる、そして哀愁も漂うストーリーと
西村繁男さんの親しみやすく風流な絵が
子どもたちの心をぐっとつかんだ様子でした。
「おでんさむらい」はシリーズ絵本で他にも3冊あるのですが、
かさおばけの登場するこの「こぶまきのまき」が
わたしは一番気に入っています。
また、絵のなかに登場する
「けとく」「御桐油」ってなんのお店だろう?と思い、
調べてみたところ、「けとく」は「解毒」つまり薬屋さん
「御桐油」は「おとうゆ」番傘などに使う油屋さんでした。
さりげなく物語とつながっていることがわかり
ますます惹かれた次第でございます。 (ゆきぽんずさん 30代・ママ 女の子8歳、男の子4歳)
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