前作の「いえでででんしゃ」は、主人公のさくら子が、
お母さんに無実の罪で怒られた事で、いえでででんしゃに乗った、
ちょっと笑えて、親としてハッとさせられるお話でしたが、
今回は、家出をしたいとは思わなかったのに、
いえでででんしゃに乗ってしまう・・・。
読んでいて、さくら子は家出を考えてないのに
どうしていえででんしゃが現われたのか?なぜ、故障してるのか?
その事について徐々にわかってくるのですが、
スケールの広いお話しにびっくり!
いえでででんしゃが故障してる原因はわからないけど、
けいすけ君と一緒にいえでででんしゃの中で
お誕生日のケーキを食べて将来の夢を語り始めてると・・・。
突然動き出した!でも、いえでででんしゃの向かった先は!
家出をしたくても、出る家がない!帰る家もない子がたくさんいる国!
文中の“今、さくら子が見ているものは、ちがう。
こうげきしているのはジェット機だけで、街はじっとしているー。
ー去年、学校からの帰り道、よっぱらったおじさんが、
子犬をいじめていた。よたよたしか歩けない小さな茶色い子犬めがけ
て、ぼうや石ころを投げつけていたのだー。
ージェット機はなんにもしない子犬をいじめていた
おじさんみたいだ。”
さくら子が感じた、文中の台詞で胸が締め付けられました。
「大人って勝手だよね・・・。」娘の言葉。
平和な日本に生まれ、なんでもすぐ手に入る。
学校に通えて、普段の生活に不安を感じることなく過ごしてる。
でも、他の国では戦争で食べ物がなく、
安心して寝る事ができる家がない子供達がいるんだって事を!
家出で電車が故障した理由もよく伝わります。
最悪の誕生日に感じられたさくら子でしたが、
帰る家がある、家族がいる。日常の些細な幸せを感じたさくら子が
誕生日という特別な日を通して経験した事だけに
幸せについて考えさせられ、この本を読む子どもたちにも
それをじんわりと感じることができると信じています。