小学校5年生のきんじと、小学校から養護学校(特別支援学校)中学部に入学したてつおの話です。
きんじには、近くの中学校に行かずバスで養護学校に通うてつおの事がよくわからない。バイバイしながら近づいてくるてつおがわからない。大声で子どもをしかりつけている母親に「やめろやん、くそばばあ」と大声でどなったくせに泣きそうになりながらふるえているてつおがわからない。
てつおのことがよくわからないけど、きんじはてつおと遊びたいのです。てつおを理解したいのです。
この絵本の反対側から、てつおの物語が始まります。
てつおもきんじたちの仲間に入りたいのです。はいりたいけど、どうして良いかわからないのです。
同じ話を、今度はてつおの側から語っています。
絵本を読んでいる僕たちは二人の気持ちが分かるのです。
養護学校に行っているからということでなく、人がどう考えているかってこと、僕たちは想像するだけなんだけど、それで良いと思います。
この絵本の、一番良いところは、前後から読んでいくと、真ん中できんじやてつおや、おこっていたおばさんやその子どもや、地域の人々が輪になっているところです。
この絵に救われます。
そして、カバーを拡げてみたらきんじ君とてつお君は、心の中で手を繋ぎ合っていました。
文も絵も養護学校に勤務する方でした。現場で日頃体験していること、お二人の思いがとても伝わって来ます。