タイトルは「かんちがい」だけど、野生の世界ではかんちがいでは済まされない怖さをもっているのだと思いました。
いろんな動物が生息する野生王国では、弱肉強食であったり、肉食草食の違いであったり、動物の生態系の違いと、共存することの緊迫感がいつもあります。
サイのお母さんの傷の原因を探っていく構成ですが、まさか「かんちがい」が発端だなんて。
野生王国では、単純に順位付けできるような比較はできないのですね。
ゾウはやさしい動物だと思っていましたが、子どもを守るためには母親も闘争心をむき出しにするのでした。
「かんちがい」が生じたのは共通の言葉がないからでしょう。
といっても、言葉がある人間社会でも「かんちがい」が心を傷つけたり、いがみ合ったり。
何となく共存していて、わかりあっていない点は、サイとゾウの関係とあまり変わらないのかもしれないなどとも思いました。
この本でもう一つ学んだのは、自然界でけがを治すのは、医者や薬ではなくて動物社会ならではの治療構造があるということ。鳥や虫、ダニまでもがさいを助けてくれました。
そして、吉田さんの絵の素晴らしさに感服です。