これは忘れられない童話です。
読んでもらったのは小学校低学年の時。
ある女の人魚は人間の世界にあこがれを持っていました。
明るく美しく情に厚い世界。きっと動物の世界とは違う。
自分の子供にはいい世界で生きて欲しい。
そうして人魚は、産み落とした女の子を陸地に置きます。
心優しい人間が育ててくれるに違いないと願って。
望みは叶えられたかに見えました。女の子はろうそく屋の老夫婦に育てられます。ただの白いろうそくを売っていたのですが、成長した女の子は絵心があり赤い絵の具で絵付けをはじめます。
それが大評判になったのはよかったのですが、、、。
目先の欲にとらわれてしまうおじいさんとおばあさん。
「どうして?」と子供心に驚き、悲しみました。
裏切られた人魚の悲哀は、本当に胸を刺すようです。
そして悲しいラスト。
人間の愚かさを描いた作品ですが、小川未明の叙情あふれる文章が美しいです。
日本でしか生まれえなかった名作だと思います。
この色彩感覚もすばらしいです。日本的ですよね。
現在の絵本は、私が読んでもらった物とは違いますがどちらもこの世界観をよく表現していると思います。
受け継がれてきた名作に触れてみてください。