1973年のドイツの絵本。
幻想的な絵を描くビネッテ・シュレーダーさんと、物語を書いたペーター・ニクルさんは、ご夫婦とのこと。
まず、題名の「ラ・タ・タ・タム」ですが、機関車の擬音のようです。
日本で言えば、「ガタンゴトン」というのが一般的でしょうか?
まず、登場するのは、マチアス。
チビで、機関車キチガイで、天才発明家という設定。
機関車工場で、雪のように真っ白で、絵に描いたお姫様のように綺麗な蒸気機関車を作った所から大きく物語りは展開を始めます。
その機関車を敷地内だから工場のものと言い出した工場主と喧嘩して、マチアスは町を出て行ってしまうのです。
その時、マチアスは、空飛ぶ自転車に乗ってというのがミソ。
次頁以降、その姿がページの片隅に描かれているのです。
さて、残された小さな機関車は、マチウスを追い駆けます。
ここから、この作品のメインなのですが、その行く先々の風景は、摩訶不思議なもの。
小さな機関車の煙が、?になっているのもお洒落この上ありません。
ビネッテ・シュレーダーのシュールレアニズムと言えそうな幻想的な絵は、何処かメッセージ性があるように思えます。
途中、原子力発電所のような建物が沢山あるシーンがあります。
文章からは、石炭採掘場かとは思えるのですが、とても象徴的なシーンでした。
マチウスが求める優しさと、工場主を始めとする強欲さの対比が、絵の明るさ、暗さで表現していて、とても深遠な作品だと思います。
何処までが、書き手のメッセージか図りかねますが、その絵を見ただけで何かを感じとれる作品に違いありません。
文章が長いことに加え、そのメッセージ性を鑑みると、小学生が自分で自ら読むのに適している作品と言えそうです。