アイリーン・ハースさんの絵とは、小学生のときに読んだ“カーリーおばさんのふしぎなにわ(ルース・クラフト著、岸田衿子訳、あかね書房)”が、初めての出会い。
幻想的な庭の風景と、むせ返るような夏の草いきれを、淡い緑色のグラデーションでみごとに描かれた絵で、夏になるたび、あの絵本の庭を思い出すほどです。(ひそかにオススメです。)
今作は、お話もアイリーンさん自身が手掛けたもの。
ストーリーは、少女ルーシーが、夏の夜にカエルからバースデーパーティーに招待されるという、フシギなお話。
挿絵は、“カーリーおばさん”の夏の庭のイメージと比べると、より繊細に、にぎやかに彩られた印象です。
飛べない小鳥のタクシーに乗って向かう、バースデーパーティー。
ていねいなタッチで繰り広げられる夜の庭の風景に、お花の帽子を被った楽しげな昆虫たちや、色彩豊かにドレスアップしたネズミの奥さん。その美しい絵を眺めているだけで、なんだかとても癒されます。
お話ラストで描かれる、ルーシーと彼女のおばあさんのエピソードも、心をふんわりと優しく包み込んでくれるでしょう。
『お話するなら4歳のお子さんから』となっていますが、内容を理解するのは、ちょっとむずかしいかも。
けれど、美しい絵を眺めるだけでも、十分イマジネーションを刺激してくれそう。
日中に照りつける太陽で疲れた夜は、お母さんも一緒に読んで、ステキな夢をみてはいかが?