宮沢賢治の深淵な世界に、伊勢英子さんが絵を添えています。
みにくい姿のよだか(ヨタカ、夜鷹)の絶望の様子を描きます。
名を奪われそうになったり、自己嫌悪に陥ったり、
その心情が切ないです。
星に昇華した余韻が、心に響きます。
宮沢賢治の作った造形は、その豊富な知識からあふれ出した結晶のようです。
それだけに、映像は難しいところだと思いますが、
伊勢さんらしく、ぼんやりと寄り添ってくれる絵がありがたいと思います。
内容同様、絵を読み解くのが高度なシーンもありますが、
じっくりと味わいたいものです。
私は、名を奪われるシーンが、斬新な絵でびっくりしたと同時に、
その重みを感じました。
絵は添えてありますが、やはり小学校高学年くらいから、
自分の心と共鳴しながら、感じてほしいです。