ゲームやスマートフォンなど便利なものが当たり前のように溢れかえる世の中、「子どもは子どもらしくあってほしい」と思っている親は多いと思います。
「けどそう思うのも親のエゴ?」「子どもを尊重しなくては!」とグルグル考えてしまい、ついつい子どもが喜ぶゲームやおもちゃばかり与えてしまったり。
そんな親にも子どもにも、全ての子育て世代に読んでもらいたい絵本です。
楽しい絵とともにじつは大事なことが全てかかれているからです。
物語はこう始まります。
「ねえ、クリスマスって一年でいちばん楽しいと思わない?
クッキーをやいたり、モミの木をかざったり、それに、プレゼントをあげたり、もらったりするんだもの。
だけど、なんでももっている人にプレゼントするのは、とてもむずかしいよね。ぼくたちの町タッスラでは、
クリスマスに
ふしぎなことがあったんだ・・・。」
このうつくしい言葉とファーストカットの次に、「わすれられないクリスマス マウリ・クンナス 作」というタイトルのページ。映画のように絵本は始まります。
お金持ちでなにをもらってももう喜ばないオンニ、ドラキュラ家のオットとロッタなど街の仲間たち、そして、ぐっすりメーメさん!が迎えるこの年のクリスマス。
いったいなにがおこるのでしょう?
そして、どんなに便利で最新のかっこいいものをもらっても嬉しくなかったオンニが一番喜んだ最高のクリスマスプレゼントとは?
実際に読んで確かめてみてください。
私がとくに好きなのは中盤のぐっすりメーメさんが登場するシーン。
クリスマスの夜中の静けさと寒さが伝わってくるかのようです。子どもの頃、みんなが寝静まったクリスマスの真夜中に降る雪を想像しただけでわくわくしたことを思い出しました。
ぐっすりメーメさん未読の方も、メーメさんファンも楽しめる一冊であり、合理主義の世の中を一蹴するこの本を、全ての子どもと大人に自信を持ってすすめたいです。
ちなみに、私が今日読み聞かせた7歳の女の子は、「ぜったいに最後のプレゼントが一番いい!」と言っていました。
わくわくドキドキが詰まった「わすれられないクリスマス」、読んでみてください。今年もクリスマスが楽しみになります。