2010年読書感想文コンクール高学年の部課題図書。
江戸時代の終わりごろの建具屋(家の戸などを作るところ)が舞台ですが、
主人公は7歳にして奉公に出された千太郎、
先に10歳で奉公始めた姉のおこうの様子も描かれますから、
子どもたちには共感してもらえそうですね。
どちらも奉公とはいっても、男女で仕事は全然違います。
おこうは、職人さんたちの仕事を垣間見ながらも、家事手伝いに働きどおしです。
千太郎も、幼いとは言っても、手厳しく仕事をしつけられます。
その中で二人は、出会う人々との関わりを通して、
しっかりと成長していきます。
それぞれの立場で、懸命に生きる姿に拍手を送りたい気分です。
また、職人技も随所に出てきますから、そのあたりもたくさんの知識が得られると思います。
木の香り、加工の音などがリアルで、光景がよくわかります。
家の一部分とはいえ、このような工程を経ている、と知ることで、
物作りの奥深さも体感できそうです。
大人の視点からすれば、まだ幼い子どもに属する千太郎やおこうに対する、
たくさんの登場人物の接し方に目が行ってしまいました。