刺繍絵本というのが、まず珍しいですよね?
そしてこれはタイのラオス・モン族の民話だそうです。
このシリーズには猿とカタツムリがあって、その絵本を紹介した時に、「この刺繍をしたのはラオスの子どもたち」と書きましたが、
どうも、お手伝いはしたかもしれませんが、実際刺繍絵を作っていたのはヤン・ロンさんとヤン・イェンさんだったようです。(お詫びして、訂正させてください)
ところで、この話は読めば読むほど、日本の「カチカチ山」に似ています。
ただ、カチカチ山と違うところは、サルがトラを懲らしめる大きな原因というものがないこと、
トラはひどい目に合うといっても、最後は穴に入れられるだけで、殺されはしない。ってことかな?
また、結びのオチは日本もの昔話とは違い、
「空から恐ろしいものが落ちてくるから穴に逃げたんだ」という設定ですね。
南の方の国々の民話や昔話には、
「穴に落ちたカンチル」などのように、
穴に他の動物たちを置いてきぼりにする話もありますし、
ヤシの実が頭に落ちてきたことでびっくりした鳥(他の動物の時もある)が、森のみんなに「空が落ちてきた!」と騒ぐ昔話も多くありますから、そちらの民族的なお話にもつながりがありそうですね。
トラには少々気の毒な気もしますが、サルの悪知恵がポンポン決まって、読み手には楽しい1冊でした。