あまんきみこさんの作品は、読み手をいつもふうわり優しい雰囲気で包んでくれるので大好きです。
中でもこの作品『ゆうひのしずく』は、題名はもちろん詩的な表現が多くて素敵だなと思いました。
ある夏の日、なだらかな丘の上で一匹のありがきりんと出会います。
「ねえ、きりんくんは、ここでまいにち、なにをしているの?」
その問いかけにきりんは、「ただ見ているのさ」と答えます。
背の高いきりんが見ていたものとは…?
きりんの体をありがのぼっていくなんて、どんなに大変なことでしょうか。
きっと、本格的な登山でもしているような気分だろうなぁ。
ありがのぼっていく時の「とことこ、ちこちこ…」の表現が、ありの小ささとその歩いた距離の多さを表していて可愛かったです。
それから、無事にたどりついたきりんのつのの上から初めて見た、素晴らしい景色。
お互い全く違う視点の世界で暮らしている2匹。
ありは見たこともなかった遠い世界を、きりんは今まで見ようとしなかった足元の世界を――それは思いもよらない新しい発見だったんでしょうね。
それぞれの感動が、こちらまでよく伝わってきました。
少しさびしそうだったきりんくん。
新しい世界を知って、新しい友達もできて、少しはさびしさがまぎれたかな?