くすのきさんの絵本が大好きで書店で見るなり涙してしまいました。
あなたは、どんな大人になりたい?の背表紙にも心惹かれましたが、同時に表紙のグローブとボールを持つ笑顔満面の少年の画も絵本をめくる興味をかきたてました。
きょうもせんせいにおこられた。もうっ!
あのけんかぼくだけがわるいのとちがうのに。
そう、経験したことのある自分だけが悪者になってしまったあの寂しい光景が伝わってきました。だれも自分のこと理解してくれない…。
どろだらけのボールをけとばしたあと、あっ!とお父さんとかわした会話を思い出します。どろだらけのボールをひろって交番へ行く少年のどきどきした表情も画からうかがえます。そこで、出会ったおまわりさんはやさしい人でした。少年は心をひらきます。けんかしておこられた事、けんかの理由。どろだらけのボールをひろって交番へとどけた理由。
おまわりさんは、少年の声に耳をかたむけ心に寄り添い共感します。
共感してもらった少年は、こんな大人もいるんだと心をひらきます。
おまわりさんと少年がキャッチボールをはじめ…。ええたまいっちょう!(ナイスボール)と褒めてくれたことで心のキャッチボールが始まったことが画からも伝わってきます。
どんな大人になりたい?おまわりさんみたいなけいさつかんになりたい!
きみはどんなけいさつかんになりたい?
それは、きまってるやろ!つよく、ただしく、やさしくて、よのためひとのためになっておかあさんによろこんでもらえる、おまわりさんのようなけいさつかんや!!少年の瞳が真剣で希望をみいだしたその姿に、『ええたま いっちょう 』と思わず声を出してしまいます。
小学校5年生に読み聞かせをしましたが、くすのきさんの世界にすっぽりとはいっていました。