表紙のエメラルドグリーンの海を前にたたずむ少女。
一枚めくると、ステンドグラスのような文様の見開き。
(ここで息子が「きれいだね〜」とひとこと)
まためくると、少女のセピア色な写真とメッセージ。
冒頭からぐぐっと心を掴まれてしまいました。
時代は1920年代でしょうか・・まだゆったりとした時間の残るころの、ある少女と家族のお話。
兄弟たちとは少し違う主人公の少女は「絵を描く人になる」といい、
自分だけの世界・そして自分だけの感覚を少しづつ構築してゆきます。
苦手なこともたくさんあるけど・・周りに理解されなくても・・
そんなふうに自分の道を選ぶ・・ある日確信する・・
これは本能的なものなのでしょうか。
こんなふうに個々の興味・情熱が違っていることが、
神秘的でふしぎで、面白いなぁとおもいます。
ハティが後半、オペラの歌が発火点になったかのような
目覚めのシーンはどこか感動的です。
「わたしはわたしよ」いい言葉。
そして家族の暮らしぶりのディティールもじっくりと味わえます。
バーバラ・クーニーさんが家族や自分の歴史に思いをはせ、
心をこめて作った絵本だということがしみじみ伝わってきました。