『翻訳できない世界の言葉』から、このシリーズの大ファンです。
これまでにもこのシリーズを通して、世界の広さ、まだまだ知らないことがたくさんあるんだということを感じてきましたが、今回は、グッと胸に迫るような、切なさを感じました。
世界共通言語として発展する英語などの陰で、こんなにもひっそりと消えていく言葉たちがあったなんて……。
この本では、その少数言語の中から、最もその言語を象徴する言葉がひとつ紹介されています。
シマナやマラミク、グイカなど、そのひとつの言葉から、他にもどんな言葉が話されていたんだろう……、どんな人が、どんな思いでその言葉を口にしていたんだろうと、思いを巡らせることができそうです。
どんどん自分が話していた言葉が通じなくなっていく様を見ていた人たちは、一体、どんな気持ちだったのでしょう。
どんな思いで、言葉を口にしていたのでしょう。
そんな想像をするだけでも、切ない気持ちになります。
日本では、アイヌ語「イヨマンテ」が紹介されているのも、より少数言語が遠いところの話ではないような気持になります。
もしかしたら、数百年後、数千年後には日本語も、少数言語になっているかも……なんて想像を膨らませてみたりして、楽しみ方、感じ方がどんどん広がっていくような作品でした。