新美南吉の特にこの作品の絵を手がけるということは、とても勇気があり冒険的な試みだと思います。
昔話と違って、文章が全く同じ世界であり、学校で事細かく学習され、先行の絵本も複数あるなかで、ある意味イメージの確立された世界でオリジナリティを拡げなければなりません。
しかも独特の自分の世界をお持ちのどいかやさんがです。
きっと、新美南吉のこの作品がとことん好きだから、自分の解釈を表現したかったのでしょう。
この絵本で強く感じるのは、きつね母子の愛情に充たされた絆です。
背景は昔の情景でありながら、現代風のやさしいファンタジーです。
子供時代に見た「手ぶくろを買いに」とは別に、新しい感覚で懐かしんでみたいちょっと大人の若者が、お気に入りにする絵本かも知れません。
でも、一番の読者はどいかやさんご自身かも知れませんね。