ユーモラスな面白さを超えた、深みのある味わい深い絵本だと思います。設定は単純明快なのですが、『星の王子様』を彷彿させて、何度か繰り返し読むたび、いろいろ考えさせられます。
宇宙人がいないと言われ、そんなわけないと主張しつつ見つけられなかったのは、心の底で自分もその存在を信じていなかったのはないでしょうか。だから、ケーキがなくなったときも、「?」が頭にうかんだのかもしれません。もちろん、ほかの解釈だってできるはずですが。
ともあれ、宇宙人のやさしさに、ほろりときました。山になって、宇宙船を見つけるお手伝いをしてあげる姿が、健気で、かわいらしい。こんな宇宙人なら、会って、たくさんおしゃべりした。ケーキもおっきなのをプレゼントしたい。そう思いました。