袴垂は、『今昔物語』に登場している盗賊です。
実在の人物なのでは、という説話の多い人物です。
この袴垂の晩年を題材にした作品です。
極悪非道の道に堕ち、果ては奪ったものは使い果たし、子分も千々に立ち去り、小役人どもに単身追われる情けない身の上に。
捕らわれる直前、絶体絶命の時、仏にすがる言葉をはくと…。
仏心にすがり、助けおこされてみれば、その顔は我が母。
大罪人の親ともなれば、生きている間が地獄の苦しみ。
とうとうと語る母の言葉とこの三十余年を振り返り、袴垂に罪滅ぼしの「人の心」が蘇るあたり、仏の慈悲でしょうか。
ラストの“ひとかかえほどの岩に 寄り添う真新しい岩”という表現に、グッときました。
高学年のお話し会に使ってみたいと思いました。