表紙、裏表紙を見て、少しためらいました。
天狗はともかく、おどろおどろしい妖怪の類もいるではありませんか!
でも、作者は精緻な建物の絵が魅力的な青山邦彦さん。
「かくれが」に希望をつないでおそるおそるページを開きました。
しゅんくんが裏山で隠れ家を作っていると、
突然天狗が現れ、手伝ってくれるというのです。
躊躇するしゅんくんにお構いなく、
天狗はおどろおどろしい妖怪の類も呼び出し、
ついには、興に乗ったみんなの力で、
しゅんくんの設計図以上の隠れ家が完成するのです。
この隠れ家が実に見事です。
忘れてはならないのが、しゅんくんの気持ち。
そもそも、けんかばかり、おこられてばかりからの逃避だったのですから。
そして、天狗たちの願いも切実です。
迫力いっぱいの天狗たちや妖怪たちですが、子どもたちはすぐに仲良しになります。
このあたりは子どもの能力を見る思いでした。
こんなこと、現実では起こりえないだけに、
せめて絵本の中で、めいっぱい遊ぶことを体感してほしい、という、
作者の、子どもたちへの願いが込められているようにも思いました。