日本生まれで16歳まで日本で育った作者の、
初の日本語版。
日本人移民の心を淡々と描いた作品。
戦前、世界を見るために、若者だった祖父は
アメリカ・サンフランシスコに移住します。
娘が生まれ、子育ても落ち着いた頃、
故郷が恋しくなり、田舎の故郷に戻ります。
でもそのうちサンフランシスコも恋しくなってくるのです。
淡々としたおはなしです。
1ページ1ページがスナップ写真のような画面です。
孫との2ショットなんて、その微妙な表情が素敵です。
まるで思い出のアルバムのようです。
二つの土地にそれぞれある思い出に、祖父の心は揺れ動きます。
移民の方に共感された、とあります。
いいえ、国内であっても、住んだ土地の思い出は
心に残るものです。
「すべての人々の物語になった」という評に納得です。