同じネズミの仲間でもハムスターのようにペットとして可愛がられるのもいるが、ドブネズミのようなしっぽの長いネズミたちは嫌われることが多い。
ところが、絵本や物語の世界になれば事情が変わる。
しっぽが長くて、耳の大きなネズミであっても、あの世界的に有名なネズミだけでなく、愛されていることが多い。
この絵本の、チョッキを着たねずみくんだってそうだ。
何しろこの絵本の初版は1974年というから、50年近くにわたって愛され読まれていることになる。
まず最初は、おかあさんが編んでくれた赤いチョッキを着て、少しおすまししているねずみくんがいる。
そこに、ねずみくんより少し大きいあひるくんがやってきて、「いい チョッキだね ちょっと きせてよ」と頼まれたので、ねずみくんは貸してあげることにした。
あひるくんが着たチョッキを見て、今度はサルくんが来て、やっぱり着せてよとお願いする。
ねずみくんの赤いチョッキは次から次へと動物たちの貸されていって、しかもその動物たちはどんどん体が大きくなっていく。
そして、最後はなんとあのゾウくんまで。
ねずみくんにぴったりだったあのチョッキがどんなことになってしまったか、想像できますよね。
話自体はとってもシンプルだが、きっとそのシンプルさがいつまでも子供たちに読まれる理由のような気がする。
ページを開くたびに、次はどんな動物がねずみくんのチョッキを着るのか、子供たちにはたまらない魅力だろう。
そういう話の展開こそ、物語の面白さの核のような気がする。