作者の障害の残った小学生時代の自らの思い出、
亡くなってしまった友達のこと……。そうした
いくつかの体験のなかから生み出されたのが、この絵本です。
お話は、ヒ素ミルクを飲んで障害を持った“長谷川くん”と
幼稚園の時からつきあってきた“ぼく”が、長谷川くんと過ごす
日々の出来事や感じたことを日記風に綴っています。
文章も含めてすべて黒一色の手書き風。
一見、墨で乱暴に描き殴られているかのように見える程
強烈な個性を持った絵と文字は力強さと躍動感にあふれ、
息をのむほどのインパクトを持って迫ってきます。
絵本のなかでの“ぼく”が“長谷川くん”に向ける言葉は
とてもきつく、容赦ない言葉が続きます。
“ぼく”は、“長谷川くん”のことを作文で「〜嫌いや」
「めんどくさい」と綴るのですが、いつでも傍らにいて
どうしても放っておくことができないのです。
こうして思ったことを素直にそのまま長谷川くんに伝えられるのは、きっと、“ぼく”が“長谷川くん”のことを一人の対等な友達として
真っ正面から接しているからなんでしょうね。
長谷川くんと一緒にいるのは同情でも哀れみでもなく、
長谷川くんはただそのままで“ぼく”の「ちょっと変わった友達」
なのでしょう。だから言葉とは反対に
どこまでも優しさに満ちているのを感じます。
いろいろな個性を素直に受け止めて、ともに過ごしていく懐の広さは、大人なんかより子どものほうがずっと持ち合わせているのかもしれません。
だいぶ前に、この本に出会ってから、是非、子どもたちにも
読んであげたい。手元に置いておきたい。と思ってたこの絵本。
今回やっとナビのポイントで購入することができました。
これからも、多くの子どもたちの手に渡って欲しい1冊です。