エリックは口をきかない男の子。大人は、エリックはただ恥ずかしがり屋なだけと思っている。でも、エリックはただ喋りたくないだけ。それに喋る必要もない。なぜなら彼にはナイトシミーっていう秘密の友だちがいて、その友だちがいつもかわりに喋ってくれるから……。
不思議なイメージの表紙に引かれて手にした絵本です。(ブラウンの挿絵ということもありました。)コミュニケーションは人間が生きていく上で必要不可欠な行為ですが、その必要性を感じないエリック……という冒頭がこの絵本のちょっぴり重いテーマを物語っているかもしれません。ナイトシミーはおもしろい本を教えてくれて、怖い夢の中でトカゲが襲ってきても助けてくれる……。確かに一人が楽しいときもあるけれど、生きていくには現実世界の友だちが必要だよ、エリック……と思い始めたときに、女の子マーシャが登場。よかった……。
エリックの心象を表現したと思われるイラストはシュールで現代アート調。オウムやゴリラが登場したりで、息子は「わからない〜」。けれど、いろいろ想像させられます。(ちょっと注目してしまったのは、ナイトシミーが教えてくれるおもしろい絵本はセンダックの『まよなかのだいどころ』でした!!)ずっと黒枠の挿絵が最後に向かって黒枠ではなく明るくなるのはエリックの心理状態を表しているのでしょうね。息子は最後まで、よくわからない〜の連発でしたが、そんな絵本もあっていいかなとはわたしの感想です。