「バルンくん」シリーズの一冊。
小森さんは、子供の頃から自動車が大好きだったということですが、やはり、その描く車にこだわりが感じられます。
描かれた車は、オースチン・ヒーレー・スプライト。
1958年〜1961年までイギリスで生産された超小型のロードスター。
イギリスで“The Frog Eyes”、北米で“Bug Eye”、日本で“カニ目”というニックネームが付けらたスポーツカーの傑作です。
何と言ってもニックネームがつけられた位の可愛らしいボディが特徴なのですが、この車を主人公に選択した瞬間に、絵本の成功は約束されたようなもの。
しかも、小森さんの描く車の絵は擬人化していて、更に色合いが綺麗なので言うことなしの出来栄えです。
物語は、走っているバルンくんが、崖崩れに遭遇するシーンから始まります。
そこに現れたお助け3兄弟、ブルドーザー、ペイローダー、ダンプカーの活躍を描くのですが、ライトを目に見立てた表情が何とも言えません。
また、登場する車にあだ名があるのも、子供にとっては魅力的なことでしょう。
これは車好きにはたまらない、一寸したプレゼントにも適した絵本だと思います。
シリーズの他の作品も読んでみたくなりました。