スティーブ・ジェンキンズは、2004年に「こんなしっぽで なにするの」でコールデコット賞オナー賞を受賞しています。
他にも、「これがほんとの大きさ!」「ほねほね絵本」「どうぶつ、いちばん だあれ?」等の科学の絵本で知られています。
この絵本も、1級の科学の絵本かと思って読んだのですが、さにあらず。
物語は、
「こんにちは あかちゃん!
ちいさな おてての あなたは だれかな?」
という書き出しで始まります。
その一文の下には、あかちゃんの手があって、次頁には、何かの尻尾が見えています。
次の頁には尻尾の持ち主のお猿さんが登場。
そして、
「あかちゃん、あなたは
おさるさんかな?
あんよが じょうずに うごくものね」
と続きます。
そう、これは、あかちゃんに呼び掛ける絵本なのです。
絵本の主人公は、あかちゃん。
絵本を読み聞かせるというよりも、絵本と通じてあかちゃんと対話すると言った方が相応しい作品と言えるかも知れません。
いつもながらの、スティーブ ジェンキンスのコラージュの絵が、冴え渡ります。
それも、一面に動物の表情が大きく描かれているものだから、あかちゃんも釘付けになること間違いありません。
最初、読んだ時、いつもの科学絵本を期待していただけに、一寸がっかりしたのですが、対象をあかちゃんと置いた作り手の意図を鑑みると、最高水準の絵本だと認識を新たにしました。
贅沢すぎるファーストブックの登場と言えそうです。