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夏の雨

パパ・60代・埼玉県

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夏の雨さんの声

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自信を持っておすすめしたい 加藤休ミさんのクレヨン画だけではない魅力  投稿日:2018/03/04
きょうのごはん
きょうのごはん 作: 加藤 休ミ
出版社: 偕成社
 絵のジャンルに「細密画」というのがあります。
 細かく緻密に描かれた絵のことで、本物と見間違うこともあります。
 写真が登場する以前は絵画にそのような技術を求めることもあったのでしょうが、写真が登場して以降は絵画の世界も印象派のように多様化していきます。
 それでも「細密画」はジャンルとして残りました。
 加藤休ミさんのクレヨン画は「細密画」に近い、本物あるいは写真ではないかと思わせてくれるものがあります。しかも加藤さんの場合、私たちが慣れ親しんだクレヨンを使ってそこまで描くのですから、驚きです。
 町の人たちのさまざまな「きょうのごはん」を描いたこの絵本の表紙で描かれたサンマの塩焼きの見事な絵はどうでしょう。
 サンマの頭部の青さかげん、体の焼け具合、焦げた感じなど、匂いとか音さえ感じる絵です。

 サンマだけではありません。
 カレーもオムライス(特にケチャップは本物とそっくり)もコロッケも、もちろん加藤さんお得意のお寿司も、食卓に並んで、読む人の食欲を誘います。

 この絵本を読んで、加藤さんの魅力はそのクレヨン画だけではないことに気づきます。
 それは昭和感です。
 この絵本に描かれた町のありようがとっても昭和なのです。
 まず初めに出てくる夕方の商店街。今ではあまり見かけない風景です。(この最初のページをよく覚えておくといいですよ。このあと登場する人たちがみんな描かれています)
 そこに描かれている建物とか人は「細密画」ではなく、加藤さん独自の絵の雰囲気をもっています。
 それが昭和感です。
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自信を持っておすすめしたい こんな生活がちょっと前にはあった  投稿日:2018/02/18
ながしまのまんげつ
ながしまのまんげつ 原作: 林家 彦いち
文・絵: 加藤 休ミ

出版社: 小学館
 絵本作家の絵は、いせひでこさんや酒井駒子さんのような端正なものから長谷川義史さんや荒井良二さんのような強烈なものまで、当然といえば当然だが、まさに個性が百花繚乱である。
 クレヨン画の加藤休ミさんもその独特な世界観は他を寄せつけない。
 そんな加藤休ミさんと落語家林家彦いちさんがタッグを組んだのが、この絵本だ。

 原作が林家彦いちさん。林家木久扇に弟子入りして、めきめきと頭角を現した人気落語家。
 タイトルにある「ながしま」は彦いちさんが小さい頃過ごした鹿児島県長島のこと。
 本土と連なる町はそこに見えているが、船で渡らないといけないところで、「ちかくて とおい しま」だ。
 彦いちさんが住んでいた頃、学校にはプールがなかった。でも、海があるから大丈夫。サメがでる(!)けど、先生が見張ってくれる。
 給食の時間には漁師のおじさんが鯛の刺身を差し入れてくれる。
 この刺身がすごくおいしそうなのだ。加藤休ミさんの絵がなんといってもいい。
 信号がついたら、島じゅうのみんなが集まって大騒ぎする、そんなしまが「ながしま」。

 彦いちさんの、そんな楽しい原作を加藤休ミさんが文と絵で絵本に仕上げた。
 加藤休ミさんのクレヨン画が島の人たちの素朴な味わいとほとんど灯りのない夜の闇を見事に描いている。
 そして、「しまからも まちからも どこから みても おんなじ まんまる まんげつ」も、いうまでもなく、ずっと見ていたくなるくらい、すてきだ。
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自信を持っておすすめしたい クレヨンといってもバカにはできない  投稿日:2018/02/11
おさかないちば
おさかないちば 作: 加藤 休ミ
出版社: 講談社
 加藤休ミという絵本作家のことを、最近まで知らなかった。
 日本経済新聞の本の広告であったが、今、どの広告であったか探したがわからなかった、
 確か、クレヨンで実物そっくりの絵を描く、みたいな広告であったと思う。
 それだけでも興味をひいたが、その作者の名前が「加藤休ミ」。休ミ、がなんとも印象に残る。
 そこで調べてみると、1976年北海道釧路生まれの女性である。
 確かにクレヨン画家とある。
 しかし、もともと彼女はクレヨン画家になりたかったわけではない。
 「とにかく何かやりたい」と東京に出てきて役者の勉強をしたが、挫折。(よくある話)
 そして、いたずらで始めていた絵の世界にはまって、イラストを描き始め、苦節(?)6年ぐらいで連載を持つようにまでなったそうです。

 彼女の絵の魅力は、なんといってもその細かさ。
 これがクレヨンで描いたの? と疑いたくなるくらい、本物っぽい。
 この絵本では彼女が得意とする魚がたくさん登場するから、彼女のファンにとっては欠かせない一冊だし、私のように加藤休ミ初心者にとって、これが加藤休ミかという衝撃を受ける一冊でもある。

 特に見て欲しいのは、キンメダイとその横に並んだイトヨリダイ。
 一体これだけの絵を彼女は何日で仕上げるのか知らないが、なんとも鮮度のいいおいしさであることか。
 これがクレヨン画としたら、クレヨンそのものも見直さないといけない。
 ぜひ、見て(読んで)欲しい一冊だ。
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自信を持っておすすめしたい これは魔法のような絵本です  投稿日:2018/02/04
新装版 えをかく
新装版 えをかく 作: 谷川 俊太郎
絵: 長 新太

出版社: 講談社
 絵本と詩は相性がいい。
 散文でなく、絵で多くの語り、言葉がそれに風のように撫ぜていく。
 だから、詩人の谷川俊太郎さんが絵本の制作にたくさん関わっているのもわかる気がする。
 絵は言葉のじゃまをせず、言葉は絵をぼやけさせない。
 どちらがお兄さんでも、どちらが弟でもない。
 手をつないだ仲良し。

 この絵本もそうだけど、谷川さんの詩がとってもいい。
 だから、私はまず詩を読んだ。
 「まずはじめに じめんをかく」で始まる、詩を読んだ。
 それから、次は長新太さんの絵だけ見た。
 緑のまっすぐな線の絵を、まず見た。
 「じめん」という言葉と「緑のまっすぐな線」という絵。
 最後にふたつ一緒に、絵本として読んでみた。
 とっても素敵だった。

 谷川さんの詩がすごいところが、「じめん」から始まって、「ひとりのこども」をかきはじめるのまで、とってもたくさんの「え」があるということ。
 大きな地球にあって、「ひとりのこども」は小さいけれど、そこから始まる家とか家族とか、あるいは夢とか死とか(この絵本には死もちゃんと描かれている)があって、それはそれでとっても大きくて大事なことだと教えてくれる。

 「白い紙をみつめていると」と、谷川さんはいいます。
 「すべてがそこから生まれてくるような気がします」と。
 一篇の詩から、ひとつの絵からも、すべてが生まれてくることもある。
 これは魔法のような絵本です。
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自信を持っておすすめしたい もしかしたらこの絵本が山崎ナオコーラさんの最高傑作かも  投稿日:2018/01/28
かわいいおとうさん
かわいいおとうさん 文: 山崎 ナオコーラ
絵: ささめや ゆき

出版社: こぐま社
 この絵本の文を書いたのは、あの山崎ナオコーラさん。
 名前だけでわかってしまうだろうが、『人のセックスを笑うな』や『美しい距離』といった作品を書き、ひと頃最も芥川賞に近かったのではないでしょうか、そのナオコーラさんが初めて手掛けた絵本です。

 これがとってもいい。
 絵を担当したささめやゆきさんの絵もいいけれど、おそらくナオコーラさんの文章の一つひとつが、おとうさんと子どもの愛を描いて秀逸だ。
 お父さんが登場する絵本はそれこそ山のようにあるだろうが、この作品はその山の頂上あたりに置いても見劣りしない。

 「絵本を作ることは、長年の夢だった。」と、ナオコーラさんはいう。
 本が好きだった彼女は大人になって、絵本ではなく小説を書いた。大きな賞の候補者になったり、落ちたり、そんなことを繰り返して彼女は書くということに悩んでいたような気がする。
 そこに、実際子どもを授かり、その子どもが絵本に触れる姿を見て、もう一度本のことが見えるようになったのではないか。
 「何かを教えるためには、本は存在しない」と。
 「読書は自由を求める行為」ということを、自身が子どもを育てるなかで、再発見した。
 そこに誕生したのが、この絵本だ。

 だから、この絵本はとっても「自由」だ。
 お父さんの顔から子どもの手でメガネがはずされる。
 メガネでしか見えないものがメガネをとることで、もっと違う光景を見せてくれる。
 例えば、とっても大切な人の顔。

 こんな素敵な絵本を作った山崎ナオコーラさんの新作が楽しみだ。
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自信を持っておすすめしたい やさしい色の絵本はあったかい  投稿日:2018/01/21
ねぇ、しってる?
ねぇ、しってる? 作: かさいしんぺい
絵: いせひでこ

出版社: 岩崎書店
 いせひでこさんの絵が好きだ。
 好きだから、いせさんの絵は自然と目にはいってくる。
 この絵本もそういう風に、いせさんの絵が誘ってくれた。
 春の風のように、夏の香りのように、秋の音のように、冬の静けさのように。
 そうだ。いせさんの絵は、季節のやさしさにあふれている。
 季節の色に彩られている。
 さあ、ページを開こう。

 保育園児のけいたくんが大切にしている、ゾウのぬいぐるみ。
 空色をしているので、そらくん。
 けいたくんはいつもそらくんとたくさんお話をする。保育園のことだとか、もうすぐおにいちゃんになることだとか。
 ところが、けいたくんにおとうとが生まれて、ちょっぴりおかしくなってしまうけいたくん。
 自分がおかあさんたちの「だいじっこ」じゃなくなったって思ってしまったんだ。
 そんな時、そらくんがけいたくんに話しかけてきた。
 それは初めてそらくんがやってきた日のことから。
 そらくんは初めおかあさんの友達だったんだ。
 けいたくんが生まれて、そらくんはけいたくんの友達になって。
 けいたくんはそらくんに自分がみんなからとっても大事にしてもらった「だいじっこ」ということを教えられる。
 だから、けいたくんはおとうとも大事にしようって。

 そうして少しばかり大きくなったけいたくんにはそらくんの声が聞こえなくなってしまう。
 そう泣くけいたくんをお母さんはやさしく抱きかかえてくれる。
 おかあさんのやさしい腕の線が、いせさんの絵の素晴らしさだろう。
 きっと誰にもあった、母の腕だ。
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自信を持っておすすめしたい 才能ある人は絵も描けてしまう  投稿日:2018/01/14
きみはうみ
きみはうみ 作: にし かなこ
出版社: スイッチ・パブリッシング
 『サラバ!』で第152回直木賞を受賞したその年、受賞作家西加奈子さんは一冊の絵本を上梓しています。
 それがこの絵本。
 最近の絵本業界では西さんのように小説の世界で名をなした人が文を書くということがよくあります。その場合は大抵絵は絵本作家の方が描くことが多いのですが、西さんのこの絵本は文だけでなく絵も彼女が描いています。
 そういうことでは純粋に西加奈子さんの絵本といっていい。

 真っ暗な暗闇に誕生した命。
 ページ一杯黒の世界で、何ごとが始まるのか不安です。
 次第に色鮮やかな世界にそれは変わり、そこが海の世界だとわかってきます。
 そんなところにずっといたいと思うけれど、「きみのいたばしょもすてきだよ」と暗い世界に戻ってみて、鮮やかに発光する生き物たちにはっと気づかされる。
 自分が生まれた場所も素敵だということに。

 そんな絵本の「あとがき」に西さんはこう綴る。
 「光がささなくたって、海は美しいのだ」と。
 つまり、私たちは綺麗な海とか色が素敵な魚だけをつい美しいと思ってしまうが、そういう通り一遍の見方ではなく、ものごとを見た方がいいと教えてくれている。
 「友達がいなくても、夢がなくても、経験値が少なくても、恋をしていなくても、その人が生きている限り、それはかけがえのない「その人」の人生だ」。
 この「あとがき」だけでも読む価値がある。
 いや、やはりこの絵本だけで多くのことがあぶくのように浮かんでくる。
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自信を持っておすすめしたい この絵本で、わろてんか  投稿日:2018/01/07
だじゃれ世界一周
だじゃれ世界一周 作: 長谷川 義史
出版社: 理論社
 長谷川義史さんはさすが関西人。あのお笑い天国よしもとのDNAが脈々と流れているようで、その作品でもお笑いを描いたものが多い。
 そもそも長谷川さんの絵の力強さは笑いも醸し出していて、その絵だけで笑えてしまうくらいだ。
 長谷川さんの代表作はたくさんあるが、第3回MOE絵本屋さん大賞で3位となった作品が『だじゃれ日本一周』で、この絵本はその続編にあたる。
 日本を飛び出して世界だから、長谷川さんの笑いも地球規模になった。

 この中で紹介されている国は49カ国。それしかだじゃれが浮かばなかったと長谷川さんは書いているが、確かにそれも首を傾げたくなるだじゃれも含まれる。
 日本とちがって、やはり世界は手ごわい?
 では、どんなだじゃれかといえば、まずは日本。
 忍者が海に飛び込んでいる絵に「ジャポーン」。(これはまだよくできています)
 それに対になったページで「からだうくらいな」。(ウクライナのこと。民族衣装を着た男が踊っています)。
 まあだじゃれの方はそんな感じで、ちゃいな(これは中国。チャイナのだじゃれ。長谷川さんは中国のだじゃれは絵にしていません)

 長谷川さんは49カ国で挫折しましたが、せっかくなので世界地図を見ながら、自分で考えてみるのもあるカナダ。
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自信を持っておすすめしたい てんぷらとフライのちがいがわかる絵本  投稿日:2017/12/30
からすのてんぷらやさん
からすのてんぷらやさん 作: かこ さとし
出版社: 偕成社
 かこさとしさんが『からすのパンやさん』を出版したのが、1973年。
 それから40年後の2013年に、からすのパンやさんの4羽の子どもたちの活躍を描いた4冊の絵本をかこさんは出版します。
 そこには2011年に起こった東日本大震災の影響も多分にあったと思います。
 特に、三番めの子どもレモンちゃんのその後を描いたこの絵本は、それが顕著に感じられます。
 何しろ、この絵本は火事のシーンから始まるのですから。

 いずみがもりのかえでどおりにある「てんぷらやさん」が火事になります。
 店は燃え、息子のイワくんは目を怪我しているし、おかみさんも行方がわかりません。
 絵本にしてはとっても暗い始まりです。
 そこにパンやの娘レモンちゃんとオモチくんがやってきて、てんぷらやの再建にひと肌脱ぐことになります。
 先生は「てんぷらやさん」のご主人キュウベエさん。
 レモンちゃんたちはキュウベエさんからてんぷらあげの秘伝の伝授をうけます。
 水と油の関係など、さすが理系のかこさんならではの説明で、子ども向けの絵本ながらちっとも手を抜くことはありません。
 
 この作品ではほかの「からすの」シリーズとちがって、さまざまなてんぷらが登場するわけではありません。
 そのかわり、てんぷらやフライの揚げ方がとても丁寧に描かれています。

 最後に行方がわからなかったおかみさんも戻ってくるし、レモンちゃんは「てんぷらやさん」のイワくんと結婚までしてしまいます。
 それになんといってもこの絵本では、楽しい「てんぷらフライのうた」もはいっているのです。
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自信を持っておすすめしたい クリスマスのリースのタイヤはあぶないです  投稿日:2017/12/24
どうしてクリスマスには・・・
どうしてクリスマスには・・・ 作: 二宮 由紀子
絵: 木曽 秀夫

出版社: 文研出版
 クリスマスはどうして特別な日なんだろう。
 誕生日もいいけど、お正月もいいけど、やっぱりクリスマス。
 最近ハローウインの人気は高いけど、やっぱりクリスマスには到底及ばない。
 本屋さんに行くとたくさんのクリスマス絵本が並んでいて、海外の絵本はさすがクリスマスの本場だけあると思うけど、日本の絵本だって負けてはいない。
 例えば、二宮由紀子さんが文を書いて、木曽秀夫さんが絵を描いたこの絵本。
 とっても楽しく読める、クリスマスの絵本だ。

 タイトルのように「どうしてクリスマスには・・・」のあとに質問があって、クスリと笑える答えがつづく形式になっている。
 こんなふうに。
 「どうしてクリスマスには、げんかんのドアにクリスマスリースをかざるかしってる?」。
 その答えがふるってる。
 「ほかのばしょにかざるとけっこうじゃまになることもおおいから」だって。
 それにつけられた絵が車のタイヤがリースになっていたり(でも、最近そんなテレビCMありますね)、犬の首輪になっていたり。

 ページを開くたびに、子どもたちの楽しそうな笑い声が聞こえてきそう。
 そこで私も考えました。
 「どうしてクリスマスには、本屋さんにクリスマス絵本が並ぶかしってる?」
 その答え、「クリスマスの季節にしか読まれないから」。
 ひとひねり足りないかも。

 この絵本を読んで、「クリスマスのしあわせがありますように!」
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