「おやすみなさい」
ふとんに入ってはみたものの、なんだかうまく寝られない。ぜんぜん眠れない。しかたがないから起きあがって、おもちゃの電車で遊んでいたら……
「スミマセーン! ソレ、ボクガ ノル デンシャ ナンデスケド!」
どこからか声が聞こえてきた。ノラナインデスカと聞かれ、ぼくは電車の中に。寝静まった夜の中、がたたん、ごととん、ひみつの旅が始まった!
『なぞなぞのみせ』で大人気の絵本作家なかざわくみこさんが最新作で描くのは、どうしても眠れない男の子が訪れた、ふしぎな夜の街。そこはにぎやかでカラフルで、あちらこちらに灯るあかりがあたたかくて。所狭しと立ち並ぶお店にはワクワクするような食べ物やお花やおもちゃでいっぱい。ヘンテコなようだけど、どこかで見たことあるような。おまけに大きな大きなすべり台が……!
そこは一体どこだったのでしょう。知っているような、知らないような、いつか見た夢の中の景色。あるいは現実と夢の間の世界。絵本を開けばいつでも訪れることができるなんて、こんな素敵なことはないですよね。緻密でどこか懐かしいなかざわくみこさんの絵で味わう、おやすみ絵本。すみからすみまで、時間をたっぷり使って堪能してくださいね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
「おやすみなさい」といって、ふとんにははいったものの、なんだかどうしてもねむれない……、男の子がとうとうおきあがって電車のおもちゃで遊びはじめると……。みんなが寝静まった夜にはじまったぼくだけのひみつの旅を、緻密にあたたかく描く一冊です。
なかなか眠れない夜、男の子がオモチャの電車で遊んでいると不思議なことが起こります。
真夜中、電車に揺られて知らない町へ。見えてくるキラキラした明るい町あかりにドキドキがワクワクに変わりました。
「ようこそだいどころまちへ」と書かれたアーチ看板のとおり、よく見るとお茶碗やお椀、鮭缶に紅茶缶、色々な瓶にキッチンツール、やかんにお鍋、炊飯器・・台所にある様々なものが見事に町に溶け込んでいます。
お店の名前や行き交う生き物たちがみんな可愛い!絵本の隅から隅までじっくり楽しめます。
朝、男の子が目覚めて台所へ行くと、あれあれ、どこか見覚えのあるものがたくさん!確かに台所って色とりどりのものが何でもあって、まるで宝箱みたいですね。ページを遡って絵探しするのも楽しそうです。
眠れない夜にこんな夢の世界へ自由に行けたら楽しいだろうなぁと思わせてくれる絵本です。
なかざわくみこさんのカラフルな色彩と、細かいところまで丁寧に描かれたイラストもとても素敵でした。 (MYHOUSEさん 50代・ママ )
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