
秋の森はおいしそうなごちそうがいっぱい。甘いヤマブドウやガマズミの実、そしてたくさんの木が木の実をどっさり落としてくれます。
食いしんぼうのたぬきのポコタは、りすやねずみが冬に備えて土の中に木の実を埋めているのを知り、「よし、ぼくもやってみよう」と真似してみます。しかし上手くいきません。りすたちには記憶力という特別な能力があり、ポコタにはそれがない。「ぼく、だめだなあ」としょんぼりしてしまうのです。
でも、ねずみとりすに「ちっとも ダメじゃないよ。だって ポコタは ふゆになるまえに うんと たくさん くだものや きのみを たべることができるじゃない!」と言われ、ポコタは自分の個性が才能なのだと気がつきます。
繊細なタッチで、細かい毛の先までリアルに動物たちを描くしもかわらゆみさん。これまでも『ねえねえ あのね』(講談社)や『おんなじ だあれ?』(あかね書房)など、優しさを内包した愛らしい動物たちの姿を数多く描いてきました。今回も、表情豊かでとびきりキュートな動物たちに目を奪われます。個を認め合うことの大切さを知ることができる、心あたたまる作品。子どもも大人も、秋の自然の美しさとともにそのやさしさをたっぷりと感じてください。
(出合聡美 絵本ナビライター)

動物たちの生き抜くための冬じたく― “やっぱりみんな、すごいんです!”
食いしん坊のたぬきのポコタは、りすやねずみが冬に備えて木の実を蓄えていることを知り、 真似をしようとしますが、うまくいきません。落ち込むポコタに仲間がやさしく声をかけて……。 しもかわらゆみが美しい細密画で描く、たぬきの生態ベースにした冬支度の物語。 「みんなそれぞれ得意なことがある」、個を認め合うやさしさがつまった、心あたたまる作品です。
<作者あとがきより(一部抜粋)> 体の大きな人、足の速い人、声の綺麗な人、物覚えの良い人、機転の利く人、 もの事にじっくり取り組める人…みんなそれぞれ違います。 一つのことだけで比べると「できる人とできない人」になってしまうかもしれませんが、 色々なことで比較すればそこには数え切れないほど多くの価値があると知ることができます。

リスや野ねずみが木の実を地面に埋めています。鳥たちが木の実を運んでいます。
冬の間の食料を蓄えておく知恵なんですね。
どこに埋めたかを忘れないのは、生きるために身についた特技だということに感心しました。
同じまねをしようとしたタヌキのポコタですが、他の動物たちと違う特技を持っていました。
冬眠する動物たちは、冬眠の前に食べられるだけ食べる食いだめ方式でした。
この違いをユーモラスに描いています。 (ヒラP21さん 70代以上・その他の方 )
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