![みどころ](/images/shoukai_midokoro.gif)
商家に住み込んで、その手伝いをする少年「でっち」。 そんなでっちのひとりである「かめきち」は、旦那のお気に入りでした。 いつもニコニコして、いやな顔をしたことがありません。 ところがこのかめきち、物忘れがあまりにひどい!
そんなかめきちが、となり町の「平林」さんへ手紙をとどけるよういいつけられます。
「となり町まで、『ひらばやし、ひらばやし』と言いながら歩いていったら、忘れないだろう」
だんなに言われたとおり、「ひらばやし、ひらばやし」と唱えながら歩いていったかめきち。 ところが、というか、やっぱり、というか……だれにとどけるものか、すぐにかめきちは忘れてしまいました。
手紙に書いてある宛て名を見ればわかるのですが、かめきちはまだ字が読めません。 そこで、街ゆく人々に宛て名を読んでもらおうとするのですが——?
「でっち」が活躍する落語を絵本にした「桂文我のでっち絵本」シリーズ第3弾! 間が抜けていたり、忘れっぽかったり、話をさんざ引っかき回してしまうけれど、愛嬌があって憎めない! そんな、落語に欠かせない存在である「でっち」。 ところがこのおはなしでは、「でっち」である「かめきち」以外のキャラクターたちまで、よってたかって話をひっかきまわすから、もう大変!
ふざけているんだが、知ったかぶっているんだか…… かめきちに「平林」の読み方をたずねられた人たちは、「たいらばやし」やら「ひらりん」やら、みんながみんな変な読み方を教えるんです。 そうしてかめきち、こんどこそ忘れないようにと、教えてもらったおかしな名前をぜんぶくっつけて唱えるものですから――。
「たいらばやしか、ひらりんか。いちはちじゅうのもぉくもく……(続きます)」 もはや人の名前じゃありません。呪文です。 でもそんな呪文めいたことを言っていると、かめきちったら、だんだんたのしくなってきてしまうわけです。
でも、これが実際、声に出して読んでみると、えらくたのしい! なんども読んでみたくなるじゃありませんか。 聞いてりゃ耳がくすぐったい、いっしょに歌えば大笑い! 読み聞かせにもバツグンにおすすめの一冊です。
さあ、ではどうぞごいっしょに!
「たいらばやしか、ひらりんか。いちはちじゅうのもぉくもく……」
……はて、なんと書いて締めるつもりだったか忘れてしまいました。
(堀井拓馬 小説家)
![出版社からの紹介](/images/shoukai_shuppansha.gif)
かめきちは、 だんなのお気に入りのでっちです。 かめきちに手紙を言づけただんなさんは、手紙の表に「平林」と相手の名前を書いたのですが、かめきちは漢字が読めません。 そこで、とおりがかった人に読み方を聞くことにしました。 ところが、 ある人は「たいらばやし」、ある人は「ひらりん」、ある人は…。 子どもたちに大人気の落語が、 愛らしい絵で楽しめます。
![ベストレビュー](/images/shoukai_bestreview.gif)
まるで呪文のような題名が気になったら、ぜひ、声に出して読んでみてください。
落語「平林」の絵本作品です。
実は、児童文学作家の安田夏菜さんの講演会で、
この落語が話題に上がり、実際に節をつけてみんなで読んだので、
題名を見てピン!ときました。
丁稚のかめきちの軽妙なエピソードです。
ご主人の旦那さんから、手紙を届けるお使いを頼まれるのですが、
忘れ癖のせいで、読めない漢字で書かれた届け先「平林」を
道中、いろいろな人に尋ねるのですが、皆てんでの珍回答をしてしまうのですね。
この漢字をそこまでバラエティ豊かに読むとは、唖然ですが、
だからこその面白さ。
最後には、全部のラインナップを唱えるのですが、
やはり、愉快愉快。
小学生くらいから、ぜひ、落語調の節で耳から楽しんでほしいです。 (レイラさん 50代・ママ )
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