ふゆのおわりに 「コツン コトン コツコツ」 「ガリガリ バリバリ」 「パリン パクン パン」 こんなふしぎな音がきこえてきたら……きみはどうする?
ベッドからとびおりてそうっと外をみる。 玄関からひとあしふみだすと、そうさ。そこには、くまがいるんだ。 庭のまんなかに立って、こういうよ。 「もうすぐ くるよお」って。
なにがくるんだろう? くまといっしょに出かけたきみは、いろんな植物や動物、風までもが 「もうすぐ きますよー」 「もうすぐ くるんだわ」 と、うたうのをきく。くりかえすのを、ついてくるのをきく。 きみがなにをきいても、くまは「もうすぐ くるよお」というだけ。 ふしぎな音は、ずっときこえてる。 なにかがきしんでくだける音。ひびがはいる音。 きみは、大きなくまと手をつないで、どんどん冬の森のおくへ歩いていく。 歩いて、ずうっと歩いて…… きみたちが見つけたものは……?
詩人である片山令子さんが翻訳したくまの言葉は、誘うように心地よくあたたかく、 ふしぎな音は、緊張感とあたらしいなにかがちかづいてくる興奮とがいりまじって刺激的にひびきます。 読み聞かせにもぴったり。耳できく言葉が魅力的な翻訳絵本です。
作者は、アメリカ・イリノイ州生まれの児童文学作家、マリオン・デーン・バウアー。 絵を描いたのは、イギリス・バーミンガム生まれのイラストレーター、ジョン・シェリー。 絵本のなかの子ども部屋や、月あかりに照らされた雪の森に、わくわくします。 本書結末にやってくる、色とりどりの驚きをお楽しみに!
(大和田佳世 絵本ナビライター)
ふゆのおわりの夜に、ふしぎなおとをきいたことある?「コツン コトン コツコツ パリン パクン パン!」ドアの外に出てみると、庭にくまが立っていて「もうすぐくるよお。いっしょにいこう」とさそいます。森の中に入っていくと、ふしぎなおとがどんどん大きくなって...... 五感いっぱいで楽しめる絵本。
タイトルにある「はるのおと」。一体、この音はなんだろう?と想像しつつ、よみすすめると、思ってもいなかった「はる」の正体におどろきました。今までにないような、はるの表現が素敵だなあ、と。
まだまだ寒い冬。春をまちながら読むのにぴったりだと思いました。 (あんじゅじゅさん 40代・その他の方 )
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