世界26か国の食べものを紹介した、楽しい大判絵本!
2023年の課題図書に選ばれた作品を対象学年ごとにご紹介します。絵本は、視野が広がる物語絵本から、命の大切さを感じる科学絵本、夢や憧れを描ける伝記絵本など。物語は、自己肯定感を育てる物語や、日本の食文化を理解する物語、貧困、多様性や共生など社会の問題について考えるきっかけとなる物語まで、それぞれ「考える読書」に繋がるラインナップとなっています。大人が読んでも読み応えのある作品ばかり。ぜひ親子でいろいろ手にとってみてください。
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課題図書作品
【小学校低学年の部】
きつねは、絵を描くのが大好き。描きたくなるとノートでも地面でも、スケッチブックになる。ある日バッタを描いていると、「だっせえ」とやまねこに笑われ、あひるに「はみ出している」と言われる。カッとなったきつねは「すごい」「じょうず」といわれる絵を描こうとするが、何を描いても納得できず、楽しくない。
ある日、鉄棒がうまくできず落ち込むうさぎを心配して家に行くと、きつねの描いた絵が飾られていた。きつねは絵を見ながら、描いたときの楽しさを思い出していく。
【小学校低学年の部】
「わたし」がパジャマに着替える頃、ママは大切な仕事に出かける。わたしが寝ている間に仕事をしている人たちは、たくさんいる。ビルで働くサミーさんやジョルジオさん、街の警察官、ニュースを伝えるレポーター、夜のライブ、24時間営業のスーパー、救急救命士、看護師、助産師など。ママは、夜明けまでバスを運転し、働く人を支えている。
夜の間に働いている、さまざまな仕事場の人たちの様子が、生き生きと描かれる。
【小学校低学年の部】
ある日、家の中では4人きょうだいが大げんか。飼い犬、飼い猫も巻き込んですったもんだの大騒動だ。
誰もが「私のせいじゃない」と原因を認めない。よくよくたどってみると、ささいな事がきっかけのようで。わざとじゃないのに、なぜか事がどんどん大きくなっていく。
でも「私も悪かった」ってひと言添えれば、みんなの心は許しの気持ちが連鎖する。どこの家庭でも起きているけんかと、そのタネの見つけ方。
【小学校低学年の部】
海に生きる魚たちの産卵やふ化の様子は、あまり知られていない。岩陰や海藻に隠したり、数多の卵を産んで生き残りを図ったり。メスが産卵しオスが面倒を見てふ化させる魚もいる。
アイナメのオスは新鮮な海水を卵に与え、外敵が近づくと容赦なく撃退。キンセンイシモチもオスが口に卵を入れて安全を確保する。タツノオトシゴは、なんとメスがオスの腹の袋に卵を産み付ける。
命をつなぐ巧みな本能を、美しい写真で紹介する。
【小学校中学年の部】
手作りみそを作る家に生まれ育ったジュン。友だちには「みそっ子」とからかわれ、お父さんから「もっとみそに興味を持って」と言われても、嫌でたまらなかった。
ある日、ロンドンからの帰国子女ユキちゃんに「蔵を見せて」と頼まれたことから、ジュンの心は徐々に変化していく。
おじいちゃんやお父さんなど多くの職人の手で、今年も新みそが完成した。友だちとのふれあいから、ジュンが思いついた古いみそ蔵の改造計画とは。
【小学校中学年の部】
母さんの給料が不足し、食べる物がなくなるとネルソンの家族はフードバンクへ行く。ここでは無料で食べ物が手に入る。ネルソンたちが頼りにしているフードバンクの食品が減っているのは、誰かが盗んでいるためと判明し、仲間と作戦をたてる。イングランドプロサッカーチームのマーカス・ラシュフォードの食の貧困への取り組みが下敷きになっている物語。「解説」に、日本のフードバンクや朝給食の実態と読者にできることが記されている。
化石のよぶ声がきこえる 天才恐竜ハンター ウェンディ・スロボーダ
作:へレイン・ベッカー 絵:サンドラ・デュメイ 訳・監修:木村 由莉 出版社:くもん出版 ISBN: 9784774333892
税込価格: ¥1,760
【小学校中学年の部】
すてきなものを見つけるのが上手なウェンディの目は、ちょっと特別だ。12歳の時、遠足でサンゴの化石を見つけ、胸を熱くしたウェンディは化石を探し始める。そして、その「いい目」で次つぎに化石を見つけ、ついに恐竜の進化を解き明かす大発見をする。世界で最も優れた恐竜ハンターとして活躍中の、ウェンディ・スロボーダの伝記絵本。好きなことを追い続けるウェンディの魅力がつまっている。巻末の古生物学者スペシャル対談も見逃せない。
【小学校高学年の部】
5年生の太一はこの学校に転校してきたときから、おもしろキャラを演じ、東京から来た大路優希は端正な見た目から王子と呼ばれるがリズム感はゼロ。本当の自分をさらけ出せずにいる2人が引き受けたえびす舞は、頬に赤い丸とナマズのような髭、お囃子に合わせておどけた仕草の絡み合いで笑いの福を呼ぶもの。
二人は悩み、真剣にぶつかり合い、自分自身にも気づいていく。家族や舞の先輩や指導者などの厳しさ、温かさは、大役成就への勇気と自信となっていく。
【小学校高学年の部】
自閉的な少女アディは、音や光に敏感で、対人関係がうまくいかないことも多い。定型発達(ニューロティピカル)に見せるため、自分を抑え仮面をかぶることもある。
アディは授業で、「人と違う」だけで魔女の疑いをかけられ、命を奪われた人々について知る。自分と魔女とされた人々を重ね合わせたアディは、慰霊碑を作ろうと奔走するが、なかなか理解を得られない。級友や担任の先生とのトラブルもあるが、慰霊碑建立に向け困難を乗り越えていく。
【小学校高学年の部】
日本と比べ自然条件が厳しく、戦乱も続くアフガニスタン。中村哲氏は医師として仕事を始めると、多くの子どもたちが亡くなったり、農産物も豊かに実らなかったりするのは干ばつが大きな原因ということを知る。医師でありながら、数百の井戸を掘り、全長25qの用水路を作って、結果として65万以上の人たちを救う。アフガニスタン政府は名誉市民権を授与。中村氏の生きざまとそれを貫く思いを知ることは、読者のこれからの人生に役立つだろう。
【中学校の部】
小4で水害による被災のため、母の実家に越してきた千暁(かずあき)。やがて、見ないで過ごしてきた自分の心に気づく。近くに住む同級生でバレー部部長の鈴音とともに、中学校最後の夏を乗り越えていく。
コロナ禍は、バレー部の「総体」も美術部の「市郡審査会」も奪っていく。制限された生活の中で、傷つき、悩み、迷い、怒り、悔やみながら、それでも前に進む様子が、千暁と鈴音の交互の視点から描かれる。嘘のない大人たちとも関わりながら、それぞれの未来に踏み出していく。
【中学校の部】
シャイなシーラを家族が心配しているのは、シーラも自覚している。だから「シャイなシーラ」の殻を破ろうと、思い切って学校ミュージカルのオーディションを受けた。
貼り出された出演者リストにはなんとシーラの名前があったが、それはシャイなシーラには耐えがたい「おじさん役」。からかわれ落ち込むシーラに追い打ちをかけるように、ミュージカルを巡るトラブルが次々と発生。トラブル解決と恋、そしてミュージカル成功のためにシーラは仲間たちと奔走する。
【中学校の部】
東京湾に注ぐ荒川は、およそ400年前と100年前の2度にわたり、人の力で流れが変えられた歴史を持つ。
その目的は「利水」と「治水」。先人たちは、川の恵みを生かして流域を著しく発展させる一方で、洪水を防ぐための努力も重ねてきた。
そして今、地球温暖化で豪雨災害が相次ぐ中、私たちはどのように川と付き合い、暮らしと命を守っていけばいいのだろうか。江戸から現代へ。川と人の深い関わりを考える。
【高等学校の部】
国内の音楽著作権を管理する組織に勤める橘。命じられ、身分を隠し音楽教室にチェロの受講生として潜入した。教室の演奏が権利侵害にあたり、使用料が必要という主張の証拠を集めるためだ。
しかし、浅葉講師の演奏に心魅かれ、音楽を愛し信頼で結ばれた人々に接するうち、少年期の事件で離れていたチェロへの情熱がよみがえる。一方、自分がやっているスパイ同然の行為に苦悩し始める。橘の心の葛藤と、チェロの音色が響き合う。
【高等学校の部】
農林水産省の公式YouTubeチャンネル「BUZZ MAFF(ばずまふ)」で活動する著者が、最新の農業や農業の未来を軽快に語っていく。
米やイチゴ、和牛の品種改良の秘密、ドローンやロボットを活用したスマート農業、SNSで情報発信し販売まで手がける農家など、興味をそそられる話題が満載。食料自給率や食品ロスなど日本の農業が抱える課題にも言及している。普段私たちが食べている農畜産物への興味、関心が深まる。
【高等学校の部】
ノルウェーの女性昆虫学者による一冊。前半は昆虫の体の仕組みや機能などの生態、後半はヒトと昆虫の関わりがとりあげられる。昆虫の生態から出発し、次第に視野を広げ、最新の知見を交えながら生物多様性の課題へと発展する構成。
著者は、現在昆虫の多様性が危機に直面しており、これは人間にとっても同様に危機であることを述べ、生物多様性の危機に警鐘を鳴らす。昆虫が苦手な人にも新たな視点を提供し、昆虫の生態を知る意義を説く。
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