人間・自然・動物の関係をみごとに描いた大作 小舟をこぐ猟師は、川をのぼって鹿猟に出かける。鴨が飛び立ち、魚が跳ねる。猟師は、牝鹿に耳を舐められていた幼い頃の甘い思い出にひたる。父さんも祖父さんもここで鹿を獲った。母さんも祖母さんも焚火を囲んで笑っていた。だがいまは、あちらとこちらの別の世で暮らしている……。児童文学者の神沢さんが北方民族への深い思いをこめた作品を、シベリア在住の「ロシア人民芸術家」である画家パヴリーシンさんが渾身の力で表現した。
シベリアで暮らす猟師の物語です。
自然界で生きることの厳しさを、真正面からとらえています。
神沢利子さんの静かで力強い詩と、画集を見ているかのように繊細な挿絵が、寄り添うようにたたずんでいます。
一見して軽い内容の絵本ではないとわかるので、子どもが自分で手にとることはあまりないかもしれません。
小学校5・6年向けのおはなし会で、聞きました。
淡々と読み進める読み手の声が、教室に静かに響きました。
厳しい世界に生きるからこそ、家族の団欒がいかに温かく幸せなものと気づくのですね。
ぬるま湯の世界にいる自分の鈍感さ(幸せボケ)を反省しました。
『くまの子ウーフ』と同じ作者であることが、信じられないほど、まるで違う世界が、そこにはありました。
高学年から大人まで楽しめる絵本だと思います。 (あまたろうさん 40代・ママ 女の子8歳、男の子8歳)
|