2000年3月に亡くなった人気絵本作家クーニーの最後の作品。木の声を聴き、風のうたを編む、かご作り職人の美しい心を描いた絵本。
バーバラ・クーニーの晩年作品と聞いてしみじみと読み返しました。
メアリー・リン・レイが環境保護活動家と知って得心しました。
生計を立てている人たちがいました。
満月の日をまって作ったかごを町に売りに行く父親に尊敬と、そして町への憧れを持った少年がいました。
少年の夢と誇りを砕くような事件が起こりました。
街に連れて行くことを渋っていた父親が、やっと許してくれた同行。
街の見るものすべてに感動して帰る道すがら、自分たちのかごが、そして自分たちの存在がとても悲しい屈辱を受けたのです。
100年前の格差社会。
都会からさほど遠くない地域に暮らしていた人々に対して、町の住人たちは蔑みを持っていたのです。
少年は町と自分の暮らしに失望します。
けれど、馬鹿にされたかごが、頑丈であることを知って少年は失いかけた誇りを取り戻します。
まさに環境保全のお話です。
差別することで優越感を持とうとしている町の人間に対してのアンチテーゼです。
地味な作品ではあるけれど、高学年以上の子どもには、胸張って伝えたい話です。 (ヒラP21さん 50代・パパ 男の子14歳)
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