「お月さまってどんなあじなんだろう」――動物たちはお月さまを見るたびに、そんな素朴な疑問を抱いていました。 ある日、小さなカメが、高い山の上に登ってお月さまをかじってみようと決心します。山のてっぺんに着いたカメは、ここではまだお月さまに届かないことに気づき、ゾウを呼びました。ゾウがカメの背中に乗り長い鼻を伸ばすと、お月さまは「これは新しいゲームだな」と思い、ひょいっと上へ逃げました。そこで、ゾウはキリンを呼びました。キリンがゾウの背中に乗り長い首を伸ばすと、お月さまはひょいっとまた上へ逃げてしまいます。次にシマウマを呼び、キリンの背中に乗って背伸びをしてもらったけれど同じこと。ライオンを呼び、キツネを呼び、サルを呼び、次々に背中に乗って背伸びして、動物たちで作る塔はどんどん高くなっていくけれど、あとひといきというところでお月さまは上へ逃げてしまうのです。 さて、サルの手がもう少しでお月さまに届きそうになったとき、サルはネズミを呼びました……。
カメ、ゾウ、キリン、シマウマ、ライオン、キツネ、そしてネズミがそれぞれ背中に乗り、段々に空に向かって高くなっていく場面が目を奪います。動物たちの塔の上空にはお月さまがにっこり。見開きの片側ページいっぱいに上へ上へとお月さまを目指す動物たちの様子、反対側のページ下には一匹ずつ順番に登場する動物が描かれ、そのコントラストが見事です。主人公である動物たちの表情やしぐさはとても親しみやすく、和紙のような風合いを生かしたイラストが温もりのある安らかなひとときを導きます。 お月さまと動物たちのゲーム、どうなったと思いますか。ここでは、小さなネズミの働きが見逃せません。砂漠でいっしょに眠る動物たちの寝顔は、まるで子供の寝顔そのもの。冒険いっぱいの一日を終え、満ち足りた気持ちで目を閉じる彼らの姿には誰もが充足感を覚えることでしょう。最終ページのサカナの一言も、気が利いています。 ――(ブラウンあすか)
お月さまを一口かじってみたいという動物たちが次々に自分の背中に他の動物をのせていきます。そして、とうとう…。質感ある絵と、繰り返しのリズムが楽しい。
【田中パパ】 お月さまを、ほんのひとくち食べてみたくて、動物たちが互いの背中によじのぼって、とっても苦労しながら、やっとのことで、ねずみがパリッとかじるんだね。で、それをみんなで分けて食べるんだけど、「お月さまのあじは、みんながそれぞれ一番好きなもののあじがしました。」っていうお話し。 お月さまのあじは、ラムネみたいにスーッとしてて冷たいのかな、とか色々想像して読み進んできたのに、最後に「きみが一番好きなものの味だよ」って言われるわけ。シュークリームでもいいし、たこ焼きでもいいわけ。お話を聞いていた子が自分で自分に質問して、答えて、初めて成立する絵本なんだね、これは。 ゆっくりと読みながら、自然な形で子どもとおしゃべりを楽しめる。 それにしても、用紙の風合いをみごとに引き出した美しさと、ページ構成の高度な技には無条件に脱帽。
タイトルに惹かれて、手に取りました。
お月さまって、どんな味なんだろう? 発想がとっても、おもしろい。
様々な動物達が協力して、お月様まで・・・と頑張っている所が、かわいいですね〜。
お月さまの味が、「みんながそれぞれ 一番好きなものの味」、というのが良かったです。
とっても夢がある絵本だと思いました。 (みっちー77さん 30代・ママ 7歳、4歳)
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