ウルフ・スタルク自身をモデルにした自伝的ショートストーリーです。
ここまで少し背伸びしたウルフを見てきたので、この絵本の中の天真爛漫さと子どもならではの屁理屈に微笑ましくなりました。
お兄さんに自転車レースの見物へ連れて行ってもらえないウルフは、親の言いつけを守りながら夢の世界に飛び出します。
ふらふら歩いて外に出てはいけないと言われたから、自転車で飛び出します。
そこは自転車レースの真っ只中。
選手たちと競争していたら、雲の上まで飛び出してしまいます。
そして、ウルフの得意技の迷子。
親切なおばさんに話しかけられても、知らない人と話してはいけないと言われたから、首を振るだけで応えます。
なんと健気なひねくれものでしょう。
実際にウルフの作品を読んでいると、この姿がウルフの自画像としてナットクできてしまうのですから、ウルフの作品の面白さの原点は幼少期にあったのでしょうか。
安心して子どもに進められる本です。