「おいてけぼり」という言葉はよく知られているけれど、その由来は置行堀。
本所七不思議の一つの怪談だそうです。
いろいろにアレンジされて耳にすることも多いのですが、共通する薄気味悪いお話であること。
うわさを聞いて釣りに出かけた大工のきんじは江戸っ子で、おいてけぼりの主をやっつける気持ちで出かけました。
その気風のよさがこのお話をさらに怖くさせてくれます。
「おいてけー、おいてけー」の語りは子どもたちを緊張させるのに充分。
やっとの思いで帰った家でおかみさんが顔を見せるとのっぺらぼう。
それも夢だったというオチで、子どもたちのため息が聞こえます。
井上さんの絵が不気味で、子どもたたちを怖がらせるのにジャストフィット。
基が怖い話なので、さねとうさんの文はその緊張をほぐそうと努力しているようです。
それでも怖いものは怖い。
読むときも、それなりに判断して…。
いきなり始めるとダメですよ。