ヒド・ファン・ヘネヒテンは、ベルギーの絵本作家。
幼児・低学年向けの絵本を次々と執筆しており、世界的な人気絵本作家で、彼の本は世界30カ国以上で翻訳されているそうです。
彼の作品では、「パパ、おばけがいるよ」「ちいさいなしろいさかな」シリーズや「ずっとママといっしょがいいの」が、印象に残っています。
その2010年の作品で、邦訳は2011年10月。
場所は、雪しか降らない国。
主人公のスノーぼうやは二人の雪だるまとともに、ずっと立っているという始まりです。
傍に自転車があり、伏線となっています。
スノーぼうやは、動きたくて仕方ないのですが、動くと融けてしまうと怒られてしまいます。
でも、動きたいという衝動は止めることができず、とうとうスノーぼうやは動きだします。
滑って転んで、また立ち上がり、自転車に乗って何処までも走ります。
その先に見えたのが、踊っている雪だるまの集団。
物知りのおじいさんの言葉がふるっています。
「ぼうや、よく おきき。
ゆきだるまは たいてい じっとしている。
いちども うごかなかったせいで、こちこちに なってしまうからだ。
こわがりも いるし、うごいただけで とけてしまうと
おもっているものも いる。
だがね、そんなことは ばかげとる。
ゆきだるまを とかすのは あつい たいようだけ。
そして、さむい さむい この ゆきだるまのくにでは、
けっして とけることは ないんだよ」
やってみないことには、わからない、そんな当たり前のことを諭してくれる作品です。
これを勇気と呼べるのかは疑問ですが、自分の信念を曲げないスノーぼうやの姿に共感できるお子さんは多いことでしょう。
なんと言っても、そのスノーぼうやの絵が印象的です。
表情が豊かで、まるで自分のことと、我が身を投影できることだと思います。
エンディングもとても心地よいもので、きっと心に残る作品になるに違いありません。
幼稚園位のお子さんに是非オススメします。